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最新+無料のHyper-V Server 2012 R2に触れてみよう! 最終回

初めての仮想化でも大丈夫!な仮想化プラットフォーム入門

物理マシンからの仮想化(P2V)、Azureクラウドへの展開

2014年01月08日 14時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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仮想マシンをアップロードする

 ローカルでの準備作業が済んだので、ふたたびAzure側の作業を続ける。まずはAzureトップ画面(http://www.windowsazure.com/)右上の「ポータル」リンク、または次のURLからAzureのポータル画面を開く。初回アクセス時にはチュートリアルなどが表示されるかもしれない(簡単に目を通しておくことをお勧めする)。

 まず、VHDファイルのアップロード先となるストレージを新規作成する。 画面左下の「+新規」をクリックすると新規作成ウィザードが開くので、「データサービス」>「ストレージ」>「簡易作成」と選択していく。

 「URL」の欄には、作成するストレージ独自の名前(他と重複しない名前、英小文字と数字のみ使用可能)を入力する。筆者は「techascii0001」とした。入力したら右下の「ストレージアカウントの作成」をクリックする。

ポータルで「+新規」>「データサービス」>「ストレージ」>「簡易作成」と選択し、URL(名前)を入力する。すでに使われているURLは指定できない

 一覧で作成したストレージ名(ここでは「techascii0001」)をクリックすると、詳細情報画面が開く。上に並ぶリンクのうち「ダッシュボード」をクリックすると、ストレージにアクセスするためのURLが3種類表示される。ここで「BLOB」と書かれたURLが、VHDのアップロード先だ。

ストレージ(techascii0001)のダッシュボードを開き、アップロード先(BLOB)のURLを確認する。筆者の場合は「http://techascii0001.blob.core.windows.net/」だ

 アップロード先が確保できたので、管理PCのAzure PowerShellを使ってVHDファイルをアップロードしよう。「Add-AzureVhd -Destination "アップロード先URI" -LocalFilePath "ローカルのVHDファイルのパス"」コマンドを実行すればよい。

 アップロード先URIは、先ほど取得したストレージのURLに、任意のディレクトリ名(「コンテナー」と呼ぶ)とファイル名を加えたものだ。また、ローカルVHDのパスは、先ほどVHDファイルをコピーしたパスである。筆者の場合は次のようにコマンドを実行した。

> Add-AzureVhd -Destination "http://techascii0001.blob.core.windows.net/vhds/Server 2012 R2 Eval_Azure.vhd" -LocalFilePath "C:\tools\Server 2012 R2 Eval_Azure.vhd"

 コマンドを実行すると、まず初めにVHDファイルのハッシュ値(MD5)の計算が行われ、その後自動的にアップロードが始まる。容量の大きなファイルなので、処理がすべて終わるまでには時間がかかる。なるべく高速なインターネット回線のある環境で実行していただきたい。

Azure PowerShellのAdd-AzureVhdコマンドでVHDファイルのアップロードを実行中

 アップロードが完了したら、先ほど作成したストレージ名>「コンテナー」>指定したコンテナー名(筆者の場合は「techascii0001」>「vhds」)をクリックすると、そこにVHDファイルの名前が表示されているはずだ。

VHDをAzureのディスクに設定する

 続いて、アップロードされたVHDファイルをAzureのディスクとして認識させる。

 ポータル画面左カラムの「仮想マシン」をクリックし、上のリンクで「ディスク」を選択すると、最初は「ディスクが作成されていません」と表示される。この画面で「ディスクの作成」をクリックすると、「VHDからディスクを作成する」という表示がポップアップする。

 「名前」にはAzure上でのディスク名(何でもよい)を入力する。「VHDのURL」は、入力欄をクリックするとストレージの一覧が表示されるので、先ほどアップロードしたVHDファイルを選択する。また、このVHDにはOSが含まれているのでチェックボックスにチェックを入れ、OSファミリ(ここでは「Windows」)を選択する。

VHDからディスクを作成する。OSがインストールされているのでチェックボックスにチェックを入れる

アップロードしたVHDで仮想マシンを立ち上げる

 以上の作業により、Azure上の仮想マシン用のディスクとしてアップロードしたVHDが使えるようになった。さっそく仮想マシンを新規作成しよう。

 ポータル左カラムの仮想マシンを選択し、「仮想マシンを作成する」をクリックすると下の新規作成ウィンドウが広がる。ここで「簡易作成」ではなく「ギャラリーから」を選ぶと、仮想マシンの作成ウィザードがポップアップして、OSイメージの選択画面が表示される。Azureがあらかじめ用意してあるイメージではなく「マイディスク」を選び、先ほど作成したディスクを選択して次に進む(右下の「→」をクリック)。

仮想マシンの新規作成ウィザード。「イメージの選択」画面で「マイディスク」をクリックし、アップロードしたVHDを選んで次へ進む

次の画面では仮想マシンの名前とサイズ(仮想CPUコア数、メモリ容量)を設定する。今回はサイズ「S」、仮想マシン名は「techascii0001」とした

3画面目は初期設定のままで次へ進む。4画面目「仮想マシンの構成」では、外部と通信するためのポートを指定する。ひとまず初期設定のまま(リモートデスクトップ、PowerShell)進める

 ウィザードを最後まで進めると、作成した仮想マシンがリストに表示される。「状態」の欄が数十秒間「開始中(プロビジョニング)」と表示された後、「実行中」に切り替わる。これで仮想マシンが起動した。右端の「DNS名」がこの仮想マシンのURLだ。

仮想マシンの作成操作を終えると、自動的にプロビジョニング(仮想マシンの構成)が始まり、やがて「実行中」に切り替わる。これ仮想マシンが起動した

 画面下のチャームに表示される「接続」をクリックすると、拡張子「.rdp」のファイルがダウンロードされる。これをダブルクリックすると、管理PCのリモートデスクトップクライアントが起動して、Azure上の仮想マシンのデスクトップが表示されるはずだ。

 本連載はHyper-V Serverの紹介を目的としているので、Windows Azureについては簡単な説明にとどめておく。せっかく無料評価版を登録したのでほかの機能も使ってみたいという方には、まずは次のオンラインドキュメントがわかりやすいだろう。

 なお、Azureは従量課金制のサービスなので、仮想マシンを使ったぶん(時間と帯域幅)だけ料金がかかる(無料評価版として獲得したクレジットが減っていく)。また、ファイアウォールで保護されているとはいえ、Azure上の仮想マシンはインターネットに公開された状態だ。試用が終わったら仮想マシン(ゲストOS)をシャットダウンしよう。

* * * * *

 以上、本連載では5回にわたってHyper-V Server 2012 R2のごく初歩的な使い方をお伝えしてきた。「初歩的」と言いながらも、途中からずいぶん駆け足になってしまったが、Hyper-V Serverがかなり広範囲に“使える”仮想化プラットフォームであることはおわかりいただけたのではないだろうか。

 仮想化技術が今後ますます進化を遂げていくのは間違いない。急速な技術進化に取り残されないよう、まずは無料で使えるHyper-V Serverを使って、仮想化の世界に一歩ずつ足を踏み入れていくことをお勧めしたい。

(提供:日本マイクロソフト)

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