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「SEOにおけるコンテンツの重要性が増している」という時の”コンテンツ”作成

2013年12月24日 05時57分更新

記事提供:SEMリサーチ

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このコラムは「コンテンツ」という言葉の定義をしたいのではありません。SEOで作れ作れと最近言われるコンテンツ作成とは、何を作成しろと言われているのかを再確認することが目的です。

最近のGoogleの検索アルゴリズムの変更・強化の流れの文脈の中で叫ばれる「コンテンツが重要」という時の「コンテンツ」とは何なのか。これ業界の方とお話をしていても、ちょっと解釈が違うんじゃないかしら、と思うことがあります。

例えば、キーワード「掃除機」を例にとってみましょうか。このケースでコンテンツの企画・設計を考えましょうかという時は…

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(A) キーワード「掃除機」を含んだコンテンツページを定期的に発信していく。目的はキーワード「掃除機」での検索順位上昇。従来の外部リンクを集中させる方法では上手くいかないから、コンテンツを集中させて特定キーワードの順位を上げることにする。

(B)「掃除機」を購入する潜在顧客層を描いて、彼らの商品理解や意思決定を手助けするようなコンテンツを考える。彼らがわからないこと、知りたいことを自分で検索して調べた時に、検索を通じて(皆さんの通販サイトが)いつでも発見できるようにする (キーワード群は例えば”掃除機” “サイクロン 何” “サイクロン パック 比較””コードレス式” etc...ほか多数)
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欧米のSEO業界で言うコンテンツ(マーケティング)というのは後者 (B) の考え方です(あるいは、それを前提に語っている)。コンテンツを作成すること自体は目的ではありません。特定のキーワード順位を上げることも目的ではありません。いえ、正確にいうと、「副次的な効果で○○のキーワード検索順位も上がるだろう」ということは、頭の片隅に入れて戦略を考えますが、その順位を上げること自体は目的になってはならないし、それはコンテンツマーケティングではありません。

そうではなく、ユーザーが知りたいコトを、知りたい時に、いつでも検索を通じてアクセスできるようにする、という最終の理想形を描いた上でのコンテンツ戦略です。実際に商品やサービスを購入する迄に、今日のユーザーは自分で検索をして、情報を取得して、検討を重ね、意思決定をしていきます。ユーザーに商品の価値を伝える、商品の理解を促す、それが生活をどのように変えてくれるのかイメージ出来るようにする、自分がどれを購入すべきなのかを明確にする、そういった購買におけるユーザーの心を動かすようなコンテンツを継続発信していくというマーケティングの理屈を理解した上でなければ、結局、何も上手くいかないのです。

「掃除機」と検索する人が全員、今すぐ購入したいわけじゃないんです。まだ悩んでいる人、ダイソンってどうなのとか、サイクロン式と紙パック式どっちがいいのとか、コードレス式って吸引力どうなのとか、そもそも吸引力のあの数値ってどう読めば良いの、etc. 掃除機1つ買うときでも皆さん悩まれるじゃないですか(私は実際悩んだ)。仮に掃除機の月間検索回数が10,000回だったとして、この10,000を”刈り取る”(=コンバージョンさせる)こと期待するより、掃除機購入を考えているような人々(=潜在顧客であろう検索意図を持つ検索クエリバリエーション)向けに、コンテンツを公開・ストックしておいて、いつでも検索を通じて自社サイトにやって来てくれるようにした方が、長い目で見れば購入顧客も増えるでしょう。

ちなみに (A) の話は10年前のお話です。ある話題についてのコンテンツ数量を充実させること自体は重要であることに変わりないのですが、ただ、前者を持って「これからのSEOはコンテンツが重要で~」という話をしてしまうのは、ちょいと違うわけですよ。1) のやり方だけじゃ、今日~将来のSEOは決して上手くいかないので、2) のキーワードレベルでなくコンテンツレベルでの企画・戦略設計が叫ばれるようになってきたのです。

『外部リンク一辺倒で順位を上げるのは難しいので、これからのSEOの新時代はコンテンツを作ることなんです』という浅はかな考えでコンテンツ戦略に取り組んでも、本質であるマーケティングに考えが及ばない限り、決して上手くいかないでしょう。確かに過去10年の間に検索エンジンは技術革新により進化して来ましたが、SEOの本質や、それをマーケティングにどのように活用するかという話は実は何も変わっていません。「キーワードの順位を上げることがSEO」という誤った固定観念に囚われて思考停止などせず、この機会(コンテンツの重要性が改めて認識されるようになった、この機会)に、もう1度、基本的な、技術ではなく、検索エンジンマーケティングを勉強してみると良いのではないでしょうか。

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