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産総研がグラフェン/カーボンナノチューブ利用の配線技術を開発

チップの消費電力を1/100にするかもしれないカーボン系ナノ配線技術

2013年12月12日 16時51分更新

文● 行正和義

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 独立行政法人 産業技術総合研究所(産総研)は12月11・12日、ナノエレクトロニクス研究部門 連携研究体グリーン・ナノエレクトロニクスセンターが、グラフェンやカーボンナノチューブでチップの配線を行う技術を開発したと発表した。

 開発した技術のひとつは、多層化グラフェン(炭素原子が蜂の巣状に配列した平面上のグラフェンを積層した素材)を用いてチップ内の配線を行う技術。現在ではこれら集積回路内の配線には銅が用いられているが、配線を微細化すると実効抵抗率が上昇、信頼性は低下する。グラフェン配線は低抵抗率、高信頼性として銅配線代替として注目されていたが、数十ナノメートル幅に微細化した際の抵抗などはこれまで不明だった

 研究では、数マイクロメートル幅の多層グラフェン配線を製造し、低抵抗を観測。さらに20 nmに細線化した場合でも低効率は変わらず、通電によっても断線しにくいなど銅配線よりも高い信頼性を持つことが分かった。低抵抗かつ極細配線が可能になったことにより、低消費電力化のためのLSI微細配線への応用が期待されるという。

CNTプラグの模式図

 もうひとつの技術は、カーボンナノチューブ(CNT)を用いたプラグの製造方法。CNTを使って金属皮膜を通して縦に配線する方式は、これまで基板に開けた穴の底からCNTを合成する方法で行われていた。これにはCNTの低温合成を用いていたが、低温合成されるCNTは品質が悪く抵抗が大きいのが課題となっていた。新たに開発された技術は、別の基板上で高温合成したCNTを転写して挿入する方式をとる“プラグ状”のCNT縦配線。シリコン上に作られる縦配線技術として集積回路の微細配線・三次元チップの製造などに利用できるという。

CNT配線作製の流れ

 これらのグラフェンやCNTを配線やトランジスタへ応用は、従来のLSIの消費電力を10分の1~100分の1に低減することを目標にして研究が進めてられている。

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