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ソニーやマイクロソフトがE3 2013で発表した「クラウドゲーム戦略」

ゲーム業界にクラウドの波は来るのか? 仕組みと問題点をおさらい

2013年12月12日 21時35分更新

文● 八尋/ASCII.jp編集部

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情報通信総合研究所、主任研究員の中村邦明氏が「ゲーム業界に迫るクラウドの波」について講義した「情報通信勉強会」

 情報通信総合研究所は12月12日、「ゲーム業界に迫るクラウドの波」というテーマでクラウドゲームについての勉強会を開催した。

 情報通信総合研究所、主任研究員の中村邦明氏は、「パズドラ」や「艦これ」などのアプリ・ブラウザゲームはデバイスの容量や対応OSなど動作環境に条件があることに対し、クラウドゲームは条件がないということを初めに述べ、クラウドゲームについて語った。

クラウドゲームとは?

クラウドゲームはデバイスの種類やOSに関係なく利用できる

 クラウドゲームは、クラウド上にあるゲームのプレイデータをビデオストリームとしてネットワーク経由で端末に配信し、ユーザーの入力情報をネットワーク経由でクラウドに送信してゲームの操作が可能だ。デバイスにゲームソフトをインストールする必要がなく、デバイスの種類やOSに関係なく利用できる。

 クラウドゲーム・プロバイダーのビジネスモデルは、コンテンツプロバイダーからライセンスを購入し、クラウドプラットホーム上でゲームを無料/月額定額/買取で提供するもの。今年開催されたE3で、マイクロソフトとソニーがクラウドゲーム戦略を発表した。

 実際にソニーがGaikaiを買収し、PlayStation向けのクラウドゲーミング・プラットフォームを手掛け、ソリューションの提供を開始している。また、スクウェア・エニックスなどのゲームメーカーや、ドイツテレコムなどのキャリアもクラウドゲームサービスの戦略を発表しているという。さらにLGなどのデバイスメーカーも、テレビを買えばクラウドゲームの月額が安くなるというようなサービスの提供を開始しているようだ。

E3で様々なデバイスでゲームクラウドを表示している展示

クラウドゲームの問題点と対策

 様々なジャンルの企業がクラウドゲームに期待を寄せる中、中村氏はクラウドゲームには問題点があると述べた。それは「レイテンシー(遅延)」だと述べた。

 ネット対戦などで、ゲーム中に動きがカクカクになったり、格闘ゲームなどでコマンド入力が遅れてイライラしたことがある人は少なくないのではないだろうか。ゲームでは画面のストリーミングや操作のレスポンスが特に重視されるが、クラウドゲームはレイテンシーに大きく依存している。その対策として鍵となるのが「データセンター」と「ネットワーク」だ。仮想GPUや圧縮技術を高性能化し、データセンターの数を増やして個々の処理負担を少なくすることで、レイテンシーを改善できる。実際に、NVIDIAが独自の仮想GPU技術「GeForce GRID」、NVIDIAのライバル企業のCiiNOWがハイブリッド・ストリーミング技術を提供し、レイテンシー対策を開始している。

世界で初めてクラウドゲームサービスを提供し、2012年に破綻、新会社へ引き継がれたOnLiveもGoogle Fiberがあるカンザスに拠点をおいていれば潰れなかったのではないかという話をからめつつ、欧米はネットワークが弱いことを述べた

 また、ブロードバンドを高速化し、一定の通信品質の提供をすることで、レイテンシーを改善できる。欧米では、ネットワークが弱く、クラウドゲーム戦略に苦戦している企業も少なくないという。その点日本では光インターネットが発展し、現時点では16ビット程度のレトロゲームを中心に提供しているため、あまり問題視されてないようだ。しかし、将来ハイエンド並の質が問われようになると、更に高度なクラウドソリューションが必要になっていくとしている。

クラウドゲームで重要な「レイテンシー」を改善する「データセンターの数/能力向上と高速ネットワーク」

 クラウドゲームは、2016年には全世界で約1兆円規模になると予想されている。技術が進みハイエンドなゲームがクラウド化できるようになれば、ゲーム業界からディスクが消える日がくるかもしれない。

訂正とお詫び: 掲載時に登壇者のお名前と所属に誤りがありました。訂正してお詫び申し上げます。(12月16日)

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