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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第30回

TwitterのIPOで鐘を鳴らした少女“A Tweeting Girl”

2013年12月06日 11時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura

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デジタルガレージのイベントに登壇した、Twitter共同創業者のビズ・ストーン氏。この2日後にニューヨークでTwitterは上場した

 日本人も大好きなTwitter。日本では2009年頃に、iPhone+Twitterの組み合わせで相乗効果的に普及していった様子を、東京に暮らしていたときに見ていました。そして、2013年のテクノロジー業界の1つのハイライトはTwitterが上場したことでしょう。

 筆者はTwitter上場には意味があると考えています。その意味は「米国のメディア体験のモバイル化」と「老若男女の共通情報網化」の2つです。

日本に比べると遅れていた米国のネットのモバイル化
2012年のiPad登場で一気に進んだ

 筆者は米国で暮らしていて、2012年が米国のモバイル化の大きな潮目だと観察していました。特にRetinaディスプレイを搭載した第3世代iPadは「デスクトップの体験をモバイルデバイスが上回る」経験を人々に与え、時代の変化を象徴的に告げた1台でした。

 RetinaディスプレイとLTEをサポートしたiPadは、ノートパソコンや個人向け一体型デスクトップなどよりディスプレーの解像度が高く、(アメリカにおいては)ADSLやケーブルテレビなどのインターネット回線よりも高速なネットが利用できる結果、パソコンの脇役という印象を払拭したのです。

 こうしてデスクトップ→モバイルの機運が高まっていき、米国の国民的スポーツイベントやオバマ大統領が再選された選挙で、モバイル化したユーザーが“ながらツイート”を体験しました。もちろん日本人にとっては、とっくの昔から体験を経験しているのですが。

 もう1つ、これは日本でも共通ですが、Twitterのリーチです。東京に帰ってくると、電車の中でどんなモバイルアプリが使われているかを見ているのですが、LINE、パズドラ、2ちゃんねるまとめリーダー、ぷよぷよクエスト、ドラクエ……さまざまなアプリが使われている中でTwitterは引き続き使われ続けているようです。

 Twitterによってさまざまな情報が拡散してしまう事件も起き、もう少しメディアを扱う訓練もしていかなければなりませんが、それだけ情報伝搬力が強い点、そしてマスメディアも一般の我々も共通に閲覧できる「情報ソース」になっている点で、情報流通のインフラとして機能していくことになるでしょう。

Twitterの共同創業者であるビズ・ストーンは
「失敗がTwitterを生み出した」

 11月5日にサンフランシスコの目抜き通りであるマーケット・ストリート沿いに、日本のデジタルガレージがオフィスを開設しました。そのイベントに登壇したTwitterの共同創業者ビズ・ストーン氏は、Twitter創業に至までの3つのひどい失敗について語りました。

 その失敗とは「自身のウェブデザイン企業Xangaを、企業文化の変化から辞めてしまったこと」「テクノロジーはたいていの問題を解決するが、Googleのようにテクノロジー第一、人間第二ではダメだったこと」「自分の声を録音できるOdeoは大発明だったが、自分が情熱を燃やせなかったこと」の3つだったそうです。

 Googleに入社前にブログを執筆していて、後にともにTwitterを創業するエヴァン・ウイリアムスに声をかけられたそうで、文字を書くことが好きだったビズだからこそ、“文字が流通し、インフラになる”Twitterのアイディアで成功を収めたということがわかります。

 これはとても重要なアイディアを与えてくれています。自分が好きで情熱を傾けられることを、自分の流儀で続け、異なる方向に行きそうなときに全力で修正する。もちろん必ずしもこうした行動指針だけで成功を収められるわけではありませんが、少なくとも「続けていけること」でなければ、成功までこぎ着けられないということもまた事実でしょう。

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