BlackBerryは11月25日(現地時間)、COO(最高執行責任者)らトップ2人の退社とともに、CFO(最高財務責任者)の交代を発表した。同社は今月初め、Fairfax Financialへの売却計画を撤回し、Sybase立て直しで知られるJohn Chen氏を会長に迎え入れて再建を図ることを発表しており、Chen氏の下で経営陣の総入れ替えがはじまった格好だ。
BlackBerryを退社するのはCOOのKristian Tear氏、CMO(最高マーケティング責任者)のFrank Boulben氏の2氏。CFOのBrian Bidulka氏は、勤務5年目のJames Yersh氏と交代する。Tear氏とBoulben氏はBlackBerryを離れるが、Bidulka氏は残り、暫定CEOを務めるChen氏のスペシャルアドバイザーとして移行を支援するという。これに合わせて、取締役会のRoger Martin氏も取締役会から外れることを発表している。
BlackBerryは夏に打ち出した「売却を含む代替選択肢を探る」という方向性の下で、一度は筆頭株主であるFairfaxによる47億ドルの買収提案を受け入れた。だが他の買収提案を検討する資産査定期限の11月4日、同社はFairfaxより10億ドルを調達するとともに買収計画を白紙に戻した。
同時に、Chen氏が会長に就任し、暫定CEOとして新しい代替案を探ることを発表した。Chen氏は業績が落ち込んでいたデータベース企業であるSybaseの再建に成功した人物。Sybaseは2010年、58億ドルでSAPに買収された。これに伴い、それまでCEOを務めていたThorsten Heins氏は辞任となった。Tear氏とBoulben氏は、Heins氏がCEO就任時に作った経営チームのメンバーであり、2人の退任はChen氏の再建が本格的にはじまったことを伺わせる。なお2氏が退いた後のCOOとCMOの後任は発表されていない。
Chen氏はプレスリリースでキャッシュフローが良好であることに触れ、「信頼性のある安全なモバイルデバイス管理ソリューションを、世界中の企業顧客に提供するトッププロバイダー」と位置づけ、これを中核に戦略を再定義すると述べている。その上で、「最高レベルのデバイス、BES 10によるモバイルセキュリティとデバイス管理、BBMによるマルチプラットフォームのメッセージングソリューション、QNX(自動車など組み込み分野で大きなシェアを持つプラットフォーム)の採用を拡大」と自社の強みを挙げている。
BlackBerryが再建を図る一方で、同社のシェアの落ち込みは激しくカムバックに懐疑的な向きもある。Gartnerの第3四半期のスマートフォン市場におけるOS別シェアでBlackBerryは1.8%、これは前年同期の5.2%からの縮小となる。