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「HDDと同等の容量単価を実現し、フラッシュの適用領域拡大を狙う」

デルのオールフラッシュ戦略は「データセンターの価格破壊」

2013年11月26日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 フラッシュメモリの技術進化や価格低廉化を背景に、現在、ストレージ市場に「オールフラッシュストレージ」の波が押し寄せている。エンタープライズ領域へのフォーカスを強めるデルも、今年8月に「Dell Compellentフラッシュ最適化ソリューション」を投入、市場参入を果たした(関連記事)。“デルならでは”のオールフラッシュ戦略とは何か、デルのストレージ事業全体を統括するアラン・アトキンソン氏に聞いた。

米デル ストレージ担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのアラン・アトキンソン(Alan Atkinson)氏。「PowerVault」「EqualLogic」「Compellent」の3製品ラインを擁するデルのストレージ事業全体を統括している

SSDアレイの階層をさらに2分割、SLC+MLCのアーキテクチャ

――今年、デルとしては初めてのオールフラッシュ製品をCompellent製品ラインに投入しました。まずその狙いを教えてください。

 まず、デルのストレージ事業全体が目指すところを確認しておきたい。ほかのストレージベンダーとは少し違うかもしれないが、デルストレージではデータセンターの経済性を飛躍的に改善すること、いわば“データセンターの価格破壊”を目指している。今回投入したオールフラッシュ製品もその戦略に沿ったものだ。

 具体的な狙いは、「フラッシュストレージを、ハードディスク(15000rpmのHDD)と同等の容量単価まで引き下げる」こと。この製品によって、顧客は高速なI/Oを求めるデータベース、VDIなどの用途で、これまでのHDDの制約から逃れることができる。

――価格競争力によってサーバー市場で“革命”を起こしてきましたが、オールフラッシュのストレージ市場でもそれを、というわけですね。

 そのとおりだ。

――発売後、顧客からの反応はどうですか。

 顧客からは大きな賞賛で迎え入れられた。特に、これまでデルストレージを導入したことのない新規の顧客からも好評をいただいている点は強調したい。オールフラッシュの投入によって、「デルストレージもここまで来たのか」と評価をあらためていただいたようなケースもある。

 価格を抑えていること、さらにパフォーマンスの飛躍的な向上、設置スペースの削減、電力や冷却の効率向上といったメリットももちろんあるが、ホットデータをすべてフラッシュ上に保持できることが、他社にはできない大きな魅力だと考えている。これにより、オールフラッシュ製品のユースケースそのものが変化する。

 現在市場に出ているオールフラッシュ製品の大半は、用途が特定のものに限られており、またほかの一般的なストレージとの統合も難しいことがある。デルのオールフラッシュ製品は、より幅広い用途に適用できるものを目指している。ほかのストレージ製品との連携も容易なので、大容量HDDアレイと組み合わせれば、Compellentの自動階層化技術により最適なデータ配置が行われる。

――この製品の技術的な特徴について。特にソフトウェア部分でどのような改良がなされていますか。

 従来からCompellentストレージは自動階層化の機能を備えているが、今回、オールフラッシュ(SSDアレイ)に対応して階層化のアルゴリズムを最適化し、そのソフトウェアを完全に書き換えている。

 今回の製品では、フラッシュ(SSD)の階層を、さらにSLC(シングルレベルセル)SSDとMLC(マルチレベルセル)SSDという2階層に分けている。SLCは信頼性が高く書き込み処理が高速だが、容量単価は高価だ。反対にMLCは安価なので大容量化が容易である。読み出しのスピードはどちらもあまり変わらない。

 そこで、すべてのデータはSLC SSDに書き込み、一定の時間サイクルでそのスナップショットをMLC SSDに移す方式をとっている。MLCにデータを移したら、SLCに空き領域ができてまたデータを書き込める。こうしたアルゴリズムで、より効率的なフラッシュストレージ階層を実現している。

(→次ページ、EqualLogic、PowerVaultでもオールフラッシュ製品投入へ)

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