このページの本文へ

Windows Server 2012 R2とAzureを追え 第5回

ハイブリッドクラウドへの取り組みを強化

富士通のA5 for Windows AzureはマイクロソフトのDCへ

2013年11月21日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

11月20日、富士通はクラウド製品・サービス群「FUJITSU Cloud Initiative」の取り組みの一環として、ハイブリッドクラウドの取り組みを強化。マイクロソフトとの提携を強化し、Windows Server 2012やAzureをベースにラインナップを拡充した。

顧客サービスの充実がスピード感を得るためにもサービス統合

 富士通は、マイクロソフトとクラウド領域で提携を行なっており、2011年8月よりWindows Azureベースのパブリッククラウドを自社データセンターで運用してきた。また、2013年の5月にはクラウドに関わる同社の製品・サービス群を「FUJITSU Cloud Initiative」として体系化している。今回、マイクロソフトとの提携を強化し、パブリッククラウド、サービスプロバイダークラウド、プライベートクラウドにおいて首尾一貫したプラットフォームを提供する「クラウドOSビジョン」に対応するサービスや製品を強化する。発表会では、富士通 執行役員専務 工藤義一氏が登壇し、マイクロソフト コーポレーション コーポレートバイスプレジデント 沼本健氏もクラウドOSビジョンについてコメントした。

富士通 執行役員専務 工藤義一氏、マイクロソフト コーポレーション コーポレートバイスプレジデント 沼本健氏

 今回、パブリッククラウドの「FUJITSU Cloud PaaS A5 for Windows Azure」を、新設されるマイクロソフトの国内データセンターに統合。既存のA5 for Windows Azureの顧客も将来的にはマイクロソフトのデータセンターに移行することになる。また、富士通のデータセンターとマイクロソフトのデータセンターの間にネットワークを敷設し、A5 for Windows Azureとプライベートクラウドをハイブリッドで連携できるようにしていく。1契約で多地域のグローバルセンターを利用可能で、日本語による24時間サポートや運用/ミドルウェアなどが付加価値サービスとして提供される。

FUJITSU Cloud PaaS A5 for Windows Azure

 マイクロソフトへのデータセンターの統合について、富士通の工藤義一氏は、「監視や付加価値サービスなど顧客へのサービスを充実させ、(サービスを)統合するのが最適と判断した」とのことで、今後は高いレイヤーのアプリケーションやサービスにフォーカスする。マイクロソフトの沼本健氏も、「サービスのアップデートが速いので、お客様は最新のサービスを享受できる」とメリットをアピールした。

 また、マイクロソフトのクラウドリファレンスモデル「Microsoft Private Cloud Fast Track」に準拠した垂直統合化プライベートクラウド基盤「FUJITSU Integrated System Cloud Ready Blocks」も強化され、Windows Server 2012 R2やSystem Center 2012に対応した。

Windows Server 2012 R2をベースにサービス充実

 新規のサービスとしては、Windows Server 2012 R2とSystem Center 2012 R2に対応したプライベートクラウドサービス「FUJITSU Cloud IaaS Private Hosted A5+ for Windows Server」が発表された。Hyper-Vベースの仮想環境を、仮想マシンおよび物理マシン単位の月額定額で利用できる。

Windowsアプリに最適なプライベートクラウド

 また、Exchange/SharePoint/Lyncのクラウドサービスをベースにした「FUJITSU Cloud エンタープライズコミュニケーションサービス」も発表された。システム運用やサポートメールアーカイブ、スパムメール対策などのオプションサービスのほか、富士通の社内実践に基づいて開発したツール群を追加し、導入から運用までをワンストップで提供する。サービス自体は、プライベートクラウドサービスであるFUJITSU Cloud IaaS Private Hosted A5+ for Windows Server上で運用される。

 さらに「FUJITSU Cloud Integration Service マルチクラウド統合監視サービス」も提供される。富士通のクラウドサービスはもちろん、マイクロソフトを初めとした主要なクラウドサービス、オンプレミス環境まで、ITリソースの一元的な監視や運用を実現。サーバーやネットワーク稼働、CPU・メモリの利用状況など、150種類以上の監視項目に対応する。

 富士通は「マイクロソフトのクラウドOSビジョンをワンストップで実現できる唯一のパートナー」を謳っており、パブリック、プライベート、オンプレミスまで一気通貫のWindowsプラットフォーム提供を大きな売りとする。実際、マイクロソフトが運用するWindows AzureをOEM的な形でサードパーティから提供するという今回のようなパートナーシップの形態は、グローバルでも例がないという。「強み」でもあり、「重し」でもあったインフラの自社運用をやめた富士通によってみれば、全世界で運用してきたマイクロソフトのクラウドプラットフォームをベースに、今後どれだけ付加価値が提供できるかがビジネスの成否を握ると言えよう。

■関連サイト

カテゴリートップへ

この連載の記事