IT機器とファシリティを一元管理、「ハードウェアベンダーにしかできないこと」
HP、インフラ管理製品「OneView」発表で“自働化”推進
2013年11月21日 06時00分更新
日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は11月20日、ITインフラ全体の統合管理を目的としたソフトウェア新製品「HP OneView」を発表した。サーバー/ストレージ/ネットワークといった機器と、ラックやPDU(配電盤)といったファシリティを単一プラットフォームで管理する。
HPでは次世代のITインフラ実現に向けた「HP Converged Infrastructure」戦略を推進しているが、OneViewはその戦略に基づき開発された管理製品。具体的には、従来の「Systems Insight Manager」を中核としたハードウェア管理ソフトウェアのアーキテクチャを10年ぶりに刷新し、機能を統合したもの。
OneViewの特徴的な機能は、最新のインタフェース、テンプレートベースでのハードウェア一括設定、「BladeSystem」におけるエンクロージャーや内蔵スイッチの自動構成、他ベンダーも含む仮想化プラットフォームとの連携、REST APIの提供など。
インタフェースは、日常の運用管理業務の中で直感的な状況把握と操作を可能にするため、最近のSNSなどのような“Webサイトライクな”ものを目指したという。複数コンポーネント間の接続情報、相互関係を可視化する「マップビュー」も備えており、たとえばある機器の更新によってほかのどの機器に影響を与えるか、その影響範囲を簡単に把握することができる。
また、各種ハードウェアの設定をテンプレートとして定義しておく機能を備えている。多数の機器に対する設定を一斉に、かつ迅速に実行することができ、ヒューマンエラーの削減にもつながる。
ラックやPDUに関する情報も統合されており、CPUや電力の使用状況、デバイスの配置位置、熱/温度の3Dマッピングといった機能を備える。
OneViewではOpenStackやOpenStackベースの「HP Cloudsystem」、他ベンダーのツールなど、仮想化プラットフォーム/クラウド管理ツールとの連携も図る。第一弾として「VMware vCenter Server」との連携を発表しており、vCenter Serverのコンソールからハードウェア情報を確認することができる。
なおOneViewは、VMware vSphereに対応した仮想アプライアンスとして提供される。標準価格(税込)は3年間で14万3850円となっている。
OneViewで“自働化”の範囲を拡大していく
日本HPのHPサーバー製品統括本部 プロダクトマーケティング本部 本部長の宮本義敬氏は、HPではサーバー市場をリードするために「Project Moonshot」(省電力/省スペースサーバー)、「Project Odyssey」(新しいミッションクリティカルサーバー)、「Project Voyager」(データセンター作業の全面的な自動化)の3プロジェクトに取り組んでおり、OneViewはProject Voyagerの最新の成果であると説明した。
データセンター自働化に関して、HPではこれまで自働サーバーを謳う「ProLiant Gen8」(関連記事)、自動資産管理ポータル「Insight Online」(関連記事)、インテリジェントなファシリティを発表してきた。今回のOneViewはその延長にあり、自働化戦略の新たなステップであるという。
「サーバーに関して顧客の動向を見ると、作業の手間を省く、管理コストを削減するという点にフォーカスが移っており、今後は自働化の進んだ、使い勝手の良いサーバーが選ばれると確信している。今回のOneViewはそのための管理製品で、ファームウェアやBIOS、電源など『ハードウェアベンダーにしかできない統合管理』を実現している」(宮本氏)