理化学研究所は11月14日、新星爆発の瞬間に重量級の白色矮星を包みこんだ「火の玉」の観測に初めて成功したと発表した。国際宇宙ステーション(ISS)に搭載した全天X線監視装置 「MAXI(マキシ)」により検出された。
観測したのは、地球から22万光年遠方に位置する小マゼラン星雲の東端の「MAXI J0158-744」と名付けられた突発天体。MAXI J0158-744は、通常の新星爆発時に比べ約100倍という極めて明るい軟X線の閃光を放射しており、11月11日に発見された。
MAXI J0158-744の追跡観測で得たデータを精査した結果、MAXIが観測した軟X線閃光は、非常に重い白色矮星の表面上で起こった新星爆発の点火後約1時間の間に、星全体を包み込んだ「火の玉」からの放射であることがわかったという。また、MAXIに搭載している軟X線分光観測装置(SSC)が、この「火の玉」からの軟X線閃光の中に明るいネオン輝線を検出したことから、この星が酸素とネオンで構成された重い白色矮星であることが示されたとしている。
新星爆発初期の軟X線閃光が通常の新星爆発の約100倍の明るさに達したこと 、さらに明るいネオン輝線を含んでいることは、想定外で理論の書き変えが必要になるという。また、MAXI J0158-744の質量は、白色矮星の質量のぎりぎりの値、もしくは、その値を超えている可能性があり、天文学に広く影響を与える可能性があるとしている。