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米国トップ3に並ぶクラウド/ホスティング事業者、その戦略は

クラウドの米サヴィス、ビッグデータで日本市場に斬り込む

2013年11月15日 06時00分更新

文● 谷崎朋子

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 サヴィス・コミュニケーションズ(以下、サヴィス)は11月12日、クラウド対応ビッグデータソリューションを先月発表したことを受けてチーフ・サイエンティストのケン・オーウェン氏が来日、記者説明会を行った。米国ではトップ3に並ぶクラウド/ホスティング事業者である同社が、日本でどのような戦略を展開するかを語った。

SAPとビッグデータでクラウド需要を開拓

 サヴィス・コミュニケーションズは、米国を中心にエンタープライズ向けのクラウドインフラ/ホスト型ITソリューションをグローバル展開するソリューションベンダーだ。世界55カ所にデータセンターを保有し、コロケーションやマネージドホスティング、ネットワーク、プライベート/パブリッククラウドサービスなどを提供している。

 これまでインフラ中心だった同社だが、2011年にCenturyLinkの傘下に入った。CenturyLinkは、AT&TとVerizonと並ぶ米国トップの通信事業者だ。CenturyLinkはその後、「Cloud Foundry」ベースのPaaSサービスを提供するAppFogを買収。10万以上の開発者や15万以上の開発アプリケーションという潤沢なリソースを活かし、インフラ事業者から総合クラウドソリューションプロバイダーへと踏み出した。

 「インフラ事業は差別化が難しい。しかも、多様化しているためユーザー企業にとってさらに分かりづらいものとなった」。そう話す、サヴィス・コミュニケーションズのクラウドプラットフォーム開発責任者、ケン・オウェンズ氏は、インフラやコンサル、アプリケーション含む総合ソリューションを今後は提供していくとした。

サヴィス・コミュニケーションズ ケン・オウェンズ氏

 日本では、まずSAPのグローバルホスティング/クラウドサービスを提供。「SAP HANA」によるシングルノード(128GB~1TB)とスケールアウト(~2TB)の両アーキテクチャに対応。現在は、SAPアプリケーション管理やERP、ビジネスインテリジェンスなどのエンタープライズアプリケーションおよびソリューションが利用可能で、2014年以降は「SAP All-in-One」やCRM、サプライチェーン管理も提供開始予定だ。また、Microsoftや「Oracle Exadata」、Hyperionなどのソリューションプロバイダーとの連携も視野に入っている。

SAPソリューションの今後のロードマップ

 2つめは、10月22日に発表された「Savvis Big Data Solutions」の提供開始だ。ビッグデータ分析アプリケーションに必要な演算処理機能やストレージ、ネットワーク接続機能を提供するソリューションで、どの分析アプリケーションからでもネットワーク経由で接続し、ビッグデータ解析が行える環境を提供する。

 「ビッグデータ向けIaaS、MapRとClouderaのディストリビューション、分析アプリケーションは標準で提供し、アプリケーション開発やその他ツールで必要なものをカスタムで組み合わせられる」(オーウェン氏)。

SAPソリューションの今後のロードマップ

 日本での足場固めはすでに先行しており、自前のデータセンターが1カ所、パートナー保有のデータセンターが1カ所、計2カ所でマネージドホスティングなど各種サービスを提供している。また、「サヴィスのインフラを活かしたソリューション提供に向けて、さまざまな企業とパートナーシップを組んでいる」と、サヴィス・コミュニケーションズ 日本法人社長の沼田治氏は言う。

 実際、今年4月にはSAPジャパンと日立システムズと3社共同で中小企業向けクラウド版ERP「SAP Business One OnDemand」を提供開始している。また、ITフロンティアとはSAP導入でインフラ面のサポートを行っている。

 ビッグデータソリューションについても、電通国際サービスや大手SI企業との情報交換を進めるほか、分析部分のサポートが可能なコンサルティング会社やマーケティング会社とも相談を始めているという。「来年には、より具体的に提携パートナーの名前を出せるはずだ」(沼田氏)。

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