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デバイスの主役交代で大きく変わった無線LANへの期待

安定・安全は当たり前!アルバが考えるワイヤレスの理想像

2013年11月14日 14時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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11月12日~15日、米アルバネットワークスはマカオにおいてAPAC地域のプライベートイベント「AIRHEADS 2013」を開催した。基調講演においてCEOのドミニク・オー氏は、モバイルデバイスの台頭に向け、スマートで、セキュアで、安定したワイヤレス環境を実現していくとアピールした。

BYODではエンドユーザーがネットワークを決める

 アルバネットワークス(以下、アルバ)は、コントローラーで複数のアクセスポイント(AP)を集中管理するエンタープライズ無線LAN製品を提供するベンダー。専業ベンダーとしては老舗になるが、スマートフォンやタブレットの急速な普及を受け、近年ますます業績を伸ばしている。最近では、セキュアなBYOD(Bring Your Own Device)を実現する管理ツール「ClearPass」のようなソフトウェア製品のほか、ギガビットを実現するIEEE802.11ac対応の製品などもいち早く提供している。

米アルバネットワークス CEO ドミニク・オー氏

 基調講演で登壇したドミニク氏は、モバイルコンピューティングの台頭やBYODのような現象がIT部門に大きな変化を強いていると指摘した。従来はエンジニアがネットワーク設計を主導し、オペレーターが構築と実装。エンドユーザーをヘルプデスクがフォローする形だったが、BYODではその関係が逆転するという。「エンドユーザー側がデバイスにあわせて最適な環境をリクエストし、ヘルプデスクとオペレーターが実装し、情報システム部がそれに応えていくという方向になっている」(ドミニク氏)。しかし、実際はLANやWAN、ボイスとデータ、ID管理とセキュリティ、モバイルアプリ、デバイス管理、さまざまな分野がサイロ化し、一元的に管理できないという問題がある。「ITはそれほど簡単には変えられない。そのため、IT部門に緊張をもたらしている」(ドミニク氏)。

 これに対してアルバが提唱するのが、「MOVE(Mobile Virtual Enterprise)」のコンセプトだ。MOVEでは、「Smart Air(スマートな無線)」「Secure Air(安全な無線)」「Stable Air(安定した無線)」を実現するという。

Smart Air、Secure Air、Stable Airの3つ

 まず、「Stable Air」に向けた取り組みとして紹介されたのが、IEEE802.11acの登場だ。ドミニク氏は、Wi-Fi CERTIFIEDによる相互接続スキームが確保できたこと、スマートフォンやタブレット、PCなど対応デバイスが続々登場していること、有線よりも高速なこと、IEEE802.11nに比べても3倍速いことなどを挙げ、IEEE802.11acの市場がきわめて素早く立ち上がると予測した。特に既存規格との互換性のある第1世代のIEEE802.11acが一気に普及するという見込みを示し、「IEEE802.11acではアップリフトで同時ユーザー数のキャパビリティを向上でき、パフォーマンスのメリットを即座に得られる」(ドミニク氏)と導入のメリットを強調。アルバが他社に先んじてIEEE802.11ac(ドラフト)対応の製品を投入してことをアピールした。

IEEE802.11ac市場のスピーディな立ち上がり

 一方、「Secure Air」に関しては、従来のような会社所有か否かといった単純なアクセス制限ではなく、会社所有と個人所有、従業員とゲストといった“二次元”で考える必要があるとドミニク氏は指摘した。従来は、会社所有のデバイスを前提に、アクセス権をActive Directoryのようなサービスで管理するという手法がメインだったが、個人所有のデバイスを社内に持ち込むBYODが普及した現在は異なる管理手法が必要になるというわけだ。また、従来はファイアウォール外の人は、社内ネットワークは一切使えなかったが、取引先や顧客などのゲストに無線LAN経由でインターネットやプリンターなどを使わせるケースも増えている。とはいえ、社外取締役のような存在もいるため、ゲストも一律に同じようには扱えない。

従来は会社所有のデバイスを前提にActive Directoryで管理

ClearPass Policy Managerを使うことでユーザーの属性にあわせた管理が実現

 こうした要件を踏まえつつ、デバイスやロールを意識したユニファイドな管理を実現するのが、アルバの統合管理ツールである「ClearPass Policy Manager」だ。ClearPass Policy Managerはディレクトリサービスの属性をベースに、ユーザーごとに詳細なポリシーを適用できる。また、WorkSpaceの機能を活用することで、デバイスではなく、場所(ロケーション)をベースにポリシーを適用することができる。

 今後はマルチベンダーでの利用も想定しており、ワイヤレス環境だけではなく、ワイヤードの環境でも統合したポリシーが適用できるという。ドミニク氏は、「エンタープライズのIT部門は単に機材やシステムを調達するではなく、社内の小さなサービスプロバイダーになるべきだ」と述べ、ClearPassのメリットを強調した。

(次ページ、Smart Airが実現するアプリケーションとの連携)


 

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