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BDソフトの画質をさらに向上する「MGVC」
一方で、アニメのBDタイトルを中心に採用されているのが「MGVC」(マスター・グレード・ビデオ・コーディング)だ。これもBDソフトをより高画質化(MGVC対応BDレコなどが必要)するための新規格で、以下のようなタイトルが対応している。
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BDソフトはその規格上、24bitで記録されることになっているが、これを36bitの高階調で収録したものだ。
MGVCのBDソフト自体はBD規格と互換性があるので、一般的なBDソフトでは24bit情報の映像の再生は可能。パナソニックのMGVC対応BDレコ(BXT3000を除く、2チューナー以上搭載の最新機種)ならば、36bit情報の再生ができるというわけだ。
この仕組みについて紹介すると、3DのBDソフトで採用されたMPEG-4 MVC(マルチビデオコーディング)を応用し、互換性のある24bit映像情報と、24bit以上の情報を含む拡張情報をそれぞれ記録している。
対応しないBDレコは24bit映像情報を使って再生し、対応機では拡張情報も合わせてデコードするため36bit映像の再生が可能になるというわけだ。
映像のビット情報は、輝度や色の階調(明るさや色の違いの細かさ)を示すもので、24bitの一般的な映像信号は輝度や色がそれぞれ8bit(256階調)となるが、36bitの場合はそれぞれ12bit(4096階調)となるため、よりきめ細かな映像を再現できるということになる。
しかも、映画やアニメーションの制作の現場では、多くの場合30bit以上で映像制作が行なわれており、これを24bitに落としてしまうということは、映像的な質も落ちていることになる。
こうしたビット差による情報量の違いは、アニメではカラーバンディング(色と色の境目が目立ってしまう現象)が出やすくなる。これは、BDレコやテレビ側の映像処理で目立たなくしているので、アニメのBDソフトがどれもカラーバンディングが出てしまうわけではない。
だが、元が30bitなり36bitならば、それをそのままソフトに収録できれば、制作者が意図していないカラーバンディングや階調感の変化が気にならなくなる。まさにスタジオクオリティーの映像を楽しめるということになる。
実際にMGVCのソフトをいくつか見たところ、アニメで目立ちやすい晴天や夕暮れ時の空の微妙なグラデーションがなめらかになり、カラーバンディングによる不自然さがなくなる。背景画の微妙な濃淡やセル画にエフェクトを使った特殊効果などがきわめて鮮明に再現され、非常に質感の高い映像になったと感じる。
精細感を高める4Kとは異なるアプローチだが、高ビット映像というのも、フルHDで提供されるBDソフトの高画質化としては欠かせないもの。まだまだタイトルは少ないが、実写映画作品も発売されるなど、今後もタイトルは充実してくるはず。こうしたソフトに注目すれば、フルHDテレビでもさらに感動的な映像を楽しめるようになる。
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