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NTTデータ先端技術の環境ICTソリューションセミナー

HVDCの本格導入は韓国データセンターの方が先?

2013年11月11日 14時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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11月1日、NTTデータ先端技術は「環境ICTソリューションと活用事例のご紹介」と題したセミナーを実施し、省エネや電力見える化についての取り組みを披露した。ここでは韓国の電力事情と省エネデータセンターの取り組みについての特別講演を紹介する。

日本のHVDCは省エネデータセンターに有効

 セミナーの冒頭、「韓国の電力事情と省エネデータセンターへの取り組み」と題した講演を行なったのはエスイーティー(以下、SET)会長の金 秉燮(Kim ByengSeob)氏だ。SETはデータセンターの省エネ化を手がけるベンダーで、高電圧直流給電(HVDC)と高効率ヒートポンプの空調を組み合わせた冷却空調システムを展開している。

韓国の電力事情やデータセンターについて講演したエスイーティー 会長 金 秉燮氏

 金氏によると、韓国は需要に対して電力供給が減少しており、「昨年はすごい猛暑で大変だった。過去には電力が不足し、ブラックアウトになったこともあった」(金氏)という。こうした状況に関わらず、韓国政府は2035年までに原発の割合を40%から20%に削減する目標を掲げると共に、CO2も2030年までに30%削減を進める政策を進めているという。特にCO2削減に関しては、罰金が課せられるので、企業にとっては省エネは必須の課題。しかし、「省エネする気はあるのだが、それに関わる情報が少ない」(金氏)というのが現状だという。

 特に消費電力の大きいデータセンターは影響が大きい。金氏によると、韓国には100以上のデータセンターがあるが、その8割くらいはソウル周辺に集中しているという。従来のこれらのデータセンターに関しては電気料金が一部免除されてきたが、2012年から首都圏のデータセンターに関して、この電気料金支払い特例がなくなってしまった。また、2012年度にはPUE1.75以下のデータセンターに対して支援を行なう「Green IDC認定制度」がスタート。さらに今年3月のサイバーテロによる大規模なシステムダウン以降、事業継続の体制をしっかし構築する必要があり、データセンターの需要はますます高くなると考えられる。こうした事情から、今後建設するデータセンターに関しては、省エネ施策を盛り込むことが必須になっているという。

韓国のデータセンター事情

 こうした背景から、SETが省エネデータセンターの開発を進めていたところ、NTTデータ先端技術のHVDCシステムに出会ったのがこれまでの経緯。HVDCを利用することで、直流と交流の交換を何度も行なう必要がなく、電力効率がきわめて高くなる。これに惚れ込んだ金氏は、さっそく2014年1月にサービスを開始するデータセンターでいち早く採用したという。「6ヶ月前にNTTデータ先端技術のHVDCに出会った。さっそく見学に行き、ディスカッションしたが、韓国のエンジニアもHVDCの有効性を認めている。日本の匠の技だ」と高く評価した。コスト面でもAC電源に比べて、それほど変わらず、導入作業が容易な点もHVDCのメリットだという。

ヒートポンプを用いたデータセンターの冷却空調システム

 さらにSETでは神戸製鋼のヒートポンプを用い、サーバーの排熱を再生エネルギーとして利用する高効率な空調システムを構築しており、このHVDCと組み合わせて韓国のデータセンターに導入している。金氏は、省エネが必須となっている他のデータセンターでも、HVDCを導入していきたいと抱負を語った。

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