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制作秘話やアップル遍歴を単独インタビュー取材

「スティーブ・ジョブズ」監督はやっぱりアップルファンだった!

2013年10月30日 17時30分更新

文● 貝塚怜 写真● 飯島恵里子

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有名な人物やエピソードの多いアップル。取捨選択の基準はどこにあったのだろう?

—アップルは起業時から波瀾万丈というか、エピソードの豊富さに事欠かない企業だと思います。どのエピソードを盛り込み、どのエピソードを省くか、その取捨選択の基準は?

ジョシュア・マイケル・スターン氏。英ファンタジー映画「Neverwas」や米コメディ映画「チョイス」などを監督。米アクション映画「The Contractor」など脚本担当作品も多数


「映画のシーンとして映えるエピソードを選び、そうでないエピソードを省いた。ディティールを完璧に描こうとすれば、2時間の中には到底収まらないし。例えば、彼がゼロックスに行ったときのことを映像で説明するのは難しいし、説明しようとすると時間がかかり過ぎてしまう。コンピューターの展示会に出展して、買い手がつくまでの道のりをディティールまで完璧に描こうとすれば、何十回も同じシーンを繰り返す必要が出てきてしまう。映像化したときに面白いエピソードを選び取って、一度噛み砕いた上で翻訳し、映画に組み込む……そうやって映画を作っていった。ちなみに個人的には、インドでのことをあと5分長く描きたかったけれど、他のエピソードを入れるために5分短くしたんだ」



—では、登場人物の選択基準は? アップルは、他の企業と比べて有名な人物の多いユニークな会社だと思います。

「彼が起業してから会社を追い出され、再びアップルに戻るまでを描いたんだけど、その間のストーリーを語るために必要な人物を登場させたつもり。彼に影響を与えた人物や、彼の人生を語るにあたって外せない人物たちだね」

—では、映画の登場人物の中で、あなた自身のお気に入りの人物は誰でしょう?

「断然、ウォズニアック!」

—当のウォズニアックは完成した映画を見てどう言っていましたか?

「色々な感想を言ってくれたけど、彼の言葉の行間を読むと……あまり好きじゃないようだな(笑) ジョシュ・ギャッド(ウォズニアック役の俳優)のことは気に入っていたみたいだけど」

—なぜでしょう?

「真実と違う部分があることに引っかかっているのかもしれない。先ほど述べた通り、ディティールに固執し過ぎないようにしたので、多少事実と食い違う部分もある。例えば、『誰々がこう言ったとき、ジョブズはこう言った』とか。細かなエピソードや発言は、文献や資料によっても変わってくるものだよね。何十年も前のことなので、ウォズの記憶だって正確とは言い切れない部分があるかもしれないし。さらに『正確さ』について言及するなら、登場人物の心の動きや考えていたことなど誰にも分からない。この映画は事実に基づいてはいるけど、事実を制作陣なりに解釈して、その印象を描いたもの、絵画で言えば印象派のようなものなんだ。映画の中に事実と食い違っている部分があるとすれば、『印象派の絵画と、絵画の元になった風景に食い違う部分がある』というのに似ているかもしれない」

登場人物の中では、ウォズニアックがお気に入りとのこと

—ところで、あなた自身はアップルユーザーですか?

「Apple IIから使ってるよ! もの凄く重いので、キャリングケースに入れて持ち歩いていた。大学を卒業した頃、アップル製品が高くて買えなかったので、ソニーやデル製のPCを使っていた時期もあるけど。でも、考えてみれば一番ハイグレードの最新機種には手を出したことがないな。例えば、MacProの、最もメモリー積載量が多くて一番いいCPUが入っているようなモデルとか。いつも中間クラスくらいのモデルを選んでいる。一番いいモデルは高いし」

—いまのあなたなら買おうと思えばいくらでも……

「確かに財力的には買えるけど、PCに3000ドルも4000ドルもかけたくないという気持ちがある(笑)でも、Apple II以来ずっとアップル製品のファンだ。iMac、MacBook、iPad、iPhone、iPod、全部持っているよ」

11月1日(金)TOHOシネマズ 日劇1ほか全国ロードショー

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