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ノーク伊嶋のIT商材品評会 第3回

強力な営業/サポート力を生かし、“頼れる”クラウドサービスへ

「たよれーる」で狙う実質的なクラウドでの勝負、大塚商会

2013年10月30日 08時00分更新

文● 伊嶋謙二(ノークリサーチ シニアアナリスト)

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大塚商会の“実質的な”クラウドサービスの強み

 クラウドサービスは、サーバーを購入しなくてもよいし、信頼の高いサービス業者にデータ保管することでの安心感、そして管理面も楽になるメリットがある。しかしながら、いまだにユーザー企業の中には、自社のデータを外部に預けるリスクを考える風潮は残っている。

 大塚商会の「たよれーるMNS」は、すべて国内にある大塚商会のデータセンター6カ所を活用しており、ほぼすべてのサービスは大塚商会自身で運営している。そしていつでもサポートしてもらえる安心感が、同社が日本の中堅・中小企業に評価されている最重要点といえるだろう。

 「たよれーるMNS」は、無料お試しなども実施しており、他のクラウドベンダーと変わりがないように見える。ただ、同社の販売の最大の特徴は、MFPやサーバー、PCの機器販売同様に、営業が直接ユーザーに提案して販売する点である。

 もっとも大塚商会自身は、同社の営業力だけではなく商品の魅力とのバランスが必要だと考えており、このバランスの良さが市場に受け入れられる理由だとしている。ただ、同社のような営業力の強みは他社にはないものである。

 また大塚商会の営業部門では、オンプレミスとして販売するかクラウドを販売するかは、担当営業自身で決定しているという。部門としては各商品/サービスの販売目標といったものも定めているだろうが、「ユーザー企業にとって最適なサービス」を提案することを最優先している。こうした姿勢も、ユーザーの安心感や信頼感につながっていると同社では分析している。

 クラウドを含め、ITサービスの相場は下がり続けている。価格下落の中で“大塚商会ブランド”の価値、商品の価値をいかにユーザー企業に理解してもらうか、どう訴求するかを常に考え、顧客への満足感とサービス収益を両立させることが、同社にとって常に課題となっている。

 今回取り上げたたよれーるMNSは、ユーザー企業がセルフサービス型で利用する一般的なSaaSとは異なり、むしろ訪問販売の強みを生かした大塚商会らしさを前提にしたサービスということがわかる。

 つまり、これまでのユーザー企業との強い結びつきが前提としてあって、販売した「後」に発生するストックビジネスを、クラウドも含めた販売サービスとして提供するのが特徴だ。しかも継続的で安定した顧客サポートも保証する、いわば“街の電器屋さん”的な細かな要望に対応できるサポート体制が根底にある。

 クラウドサービスだけで儲けるのではなく、全体で儲ける仕組みにクラウド的な形態を取り入れたというのが大塚商会らしい、実質的なクラウド実績の具現化と言えるだろう。

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