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Windows Info 第4回

Windows 8.1で完全統合されたSkyDriveを使う

2013年10月29日 12時00分更新

文● 塩田紳二

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Windows 8.1のSkyDriveは大きく改良
クラウド上にだけファイルを置くことも可能

 1つは、SkyDriveがシステムに統合され、フォルダツリー(各ユーザーフォルダの下のSkyDriveフォルダ)の中に組み込まれたことだ。ローカルネットワークの共有フォルダと同じようにSkyDriveのフォルダを扱える。これにより、Modern UI環境でも、デスクトップ環境でも、同じフォルダツリーを使って作業が行える。

 この仕組みをマイクロソフトは「Smart file」と呼んでいる。SkyDriveフォルダの下は、常にSkyDriveのすべてのフォルダとファイルが見える。

Windows 8.1ではフォルダツリーの中にSkyDriveのフォルダやファイルが直接見える。しかし、ファイルを開くまでは、ファイルのダウンロードは行なわれない。またファイルを追加するとローカルストレージに保存されたのち、SkyDriveへのアップロードが行われる

 ただし、実際にアクセスが行われるまでは、ファイルはダウンロードされず、ローカルファイルシステム上でのサイズは0バイトになる。ただし、ファイルの名称や更新時間などは完全にSkyDrive側のファイルと同じで、ファイル名の並べ替えやサムネイルの表示なども可能だ。

初期状態では、SkyDriveフォルダ内のファイルは存在しているもののローカルストレージ(HDDやSSD)上には実体がない(サイズが0バイト)の状態になっている。このとき、ファイルの右クリックメニューには「オフラインで使用する」という項目が表示される

 ファイルをアプリなどが開くと、SkyDrive側からダウンロードが行われ、ローカルデータと同じようにアクセスできる。大きな違いは、このときあくまでもファイルへのフルパスはなにも変更されず、最初からそこにファイルがあったかのようにアプリ側からは見えることだ。

 このとき、ファイルははじめてローカルストレージ(HDDやSSD)上に実体を持ち、具体的に容量を占有する。書き換えが行なわれれば、処理の終了後にSkyDriveへのアップロードが自動的に行われる。読み出しのみ、すでにアップロードが終了している場合、他のSkyDriveのファイルの利用などで、システムの空き容量が減ってきた場合や、SkyDrive側が更新された場合には、キャッシュが削除されて他のファイルのために場所を空けることになる。

ローカルにファイルを置いて同期することも可能
フォルダ単位で設定が切り替えられる

 Windows 8.1のWindowsエクスプローラーで、SkyDrive上のファイルの右クリックメニューを開くと「オフラインで利用」という項目があり、これを選択することで、ファイルはネットワーク接続がない場合(オフライン)でも利用可能となる。再度右クリックメニューを開くと「オンラインでのみ利用」とメニュー項目が変わり、オフライン利用を解除できる。

「オフラインで使用する」を指定したあと、ファイルのダウンロードが行われ、ローカルストレージ上に保存される(ディスク上のサイズがファイルと同じ)。このときファイルの右クリックメニューを開くと「オンラインでのみ使用する」という項目に切り替わる

 ユーザーが「オフラインで利用」を指定したファイルに関しては、その時点でダウンロードが開始され、キャッシュとしてファイルをローカルストレージに保持する。「オンラインでのみ利用」のファイルと違うことは、システムの空き容量が減っても、このキャッシュは勝手には削除されない点だ。また、「オフライン利用」指定されたファイルは、SkyDrive側が更新された場合に自動的に更新されるという点も違う。

 この方式のメリットは、ユーザーからみるとすべてのSkyDriveファイルが見えていにも関わらず、ローカルファイルシステムを占有するのは、キャッシュされたファイルのみなので、占有容量が小さくて済むということだ。

 また、Windows 8.1から、PC設定にSkyDriveに関するものが追加された。項目は全部で4つある。中でも特徴的な設定は「ドキュメント」フォルダをSkyDrive側に置く「ドキュメントを既定でSkyDriveに保存する」という項目である。これをオンにすることで、既定のファイル保存先がSkyDrive側になる。具体的には、ローカルの「ドキュメント」フォルダとSkyDriveの「文書」フォルダが設定されているドキュメントライブラリの既定の保存先がSkyDriveの「文書」フォルダになる。

この項目をオンにすると、作成したファイルの標準の保存先がSkyDriveとなる

 もう1つは、「ピクチャー」フォルダにある「カメラロール」にある画像を自動でSkyDriveの「画像」にある「カメラロール」フォルダへコピーする機能だ。カメラロールは内蔵のカメラで撮影した画像が保存される場所であるため、この機能をオンにすると、撮影した画像がすべてSkyDrive側にコピーされる。このとき、解像度を変換するかどうかを指定できる。

OCRによる画像のテキスト化など
サーバー側での処理機能も追加予定

 さらにマイクロソフトは、SkyDriveにOCRなどの付加機能を追加することを計画している。画像イメージに含まれる画像を認識して文字コードに変換する技術だ。ただし、Windows 8.1の配布開始時点では、英語などいくつかの言語に対応するのみで、日本語には対応しない。こうした機能は、SkyDriveのサーバー側(つまりクラウド側)に実装される。

 サーバー側であれば、ある程度強力なプロセッサを多数利用でき、非力なクライアントであっても対応が可能だからだ。また、多数のプロセッサを並列で動かすことで多数のユーザーの多数の画像を並列に処理可能だ。なお、このほかの機能としてマイクロソフトは、OCRと組み合わせる翻訳機能(Bing翻訳)や動画編集機能などを予定しているという。

 ただし、OCR機能については、SkyDriveがオリジナルというわけではなく、すでにGoogleドライブが、画像ファイルやPDFファイルのOCR機能を搭載しているほか、Evernoteなどのサービスでも有料契約で提供される機能して実装されている。

 SkyDriveは、単純なインターネットストレージではなく、データをバックグラウンドで処理するような「インテリジェント」なストレージになるようだ。最近の高性能なPCでも恩恵はあるが、最も恩恵を受けるのは、Atom系のタブレット、Windows RTマシンやWindows Phoneだろう。

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