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「赤城」も驚く、ゲームビジネスで勝つ法則

2013年10月28日 07時00分更新

伊藤達哉(Tatsuya Ito)/アスキークラウド編集部

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 10月24日、NTTドコモ・ベンチャーズ・ラウンジスペースで「アスキークラウド・イノベーションセミナー」が開催された。
 今回のテーマは、アスキークラウド12月号の特集にちなんだ「ゲームビジネスから学ぶ勝つための法則」。登壇者は、ロビオ・エンターテイメント、カントリーディレクターのアンティ・ソニンネン氏、PUMOの代表取締役CEO柴田真人氏、イレギュラーズアンドパートナーズの代表取締役山本一郎氏の3人。業界関係者を中心に多くの参加者で会場が賑わった。

2時間半に渡り、各登壇者が熱い講演を披露した

 ロビオ・エンターテインメントは、世界的にヒットしているスマートフォン向けゲーム「アングリーバード」を開発したフィンランドのゲームメーカー。今年3月に日本オフィスを構え、本格的に日本市場へのアプローチを開始した。日本オフィス代表のアンティ氏は、これまでのロビオの歴史と質疑応答に答えるかたちでプレゼンした。初期のロビオはフィーチャーフォン向けのゲームを制作しており、アングリーバードがヒットするまで50もの「売れない」タイトルを作っていた。しかし、ゲームを作る意識を持たず新しいエンターテイメントを作るつもりで制作したアングリーバードは、シリーズ累計で17億ダウンロードを達成した後、グッズやコラボ展開することでビジネスを広げてきたという。現在は、アクティビティーパークと呼ばれる遊具施設を開放する他、自社で映画も制作しており、その世界的な人気を確固なものにしている。日本未発売のフィギュアと組み合わせた最新のゲームには、多くの参加者から注目を浴びた。


 ゲームにとらわれない総合コンテンツを提供するPUMOの柴田氏は、ハドソンに25年勤めた経験談から会社組織に必要な3原則を語った。1987年にハドソンに入社した柴田氏は、まさにハドソンの絶頂期を知る一人。貸し切りのジェット機でオーストラリアへ社員旅行に行くという豪勢な経験を味わっている。そんな柴田氏によれば、ある出来事からハドソンの組織という歯車が噛み合わなくなったという。その上で柴田氏が提案するゲームビジネスで勝つための法則として、「コミュニケーションの質を上げる」「トレンドへの敏感さ」「速度を下げる要因の排除」の3つを挙げた。これらが困難になると組織は徐々に縛られ、気づいた頃にはほどけない状況になってしまうという。特に営業を担当していた時に感じた「トレンドのズレ」に対する苦悩を「今だから話せる」と語った。


 山本氏が登壇するという理由でセミナー参加を決めた来場者もいたほど。そんな山本氏は「ソーシャルゲーム市場は衰退した」という前提の基、講演を始めた。現在のゲーム業界は「革新性と確実性のジレンマ」を抱えているという。「革新性」は、他社がまったく手掛けていない分野に一番乗りすることで莫大な利益を得るのに対して、「確実性」は、自社や別メーカーが当てたジャンルを後追いして確実性の高い選択をするビジネスモデルだ。この事業戦略が定まらないと優先順位が決まらずにブレが生じ、結果として売り上げが伸びない要因になるという。この革新性と確実性のバランスを考えた事業計画を経営者は考えなければならない、と忠告した。その他、某メーカーの凋落の原因を1日当たりの利用者数とひと月当たりの利用者数を比べて分析。意外にもその原因は「パズドラ」や「艦これ」のヒットとは無関係だとし、参加者を驚かせた。


今回の登壇者――左からアンティ・ソニンネン氏、柴田真人氏、山本一郎氏

 伸び盛りのロビオがキャラクタービジネスを語り、元ハドソンの柴田氏が組織の悪循環に陥らない方法を教え、山本氏が衰退したソーシャルゲーム市場からゲームビジネスで生き残るために必要な経営術を解説。参加者の意識も高く、登壇者を困らせる質問も多く飛び出した。


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