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新プロセッサー搭載の“ビッグメモリマシン”。「SuperCluster」新機種も

メモリ最大32TB!オラクルの「SPARC M6-32」サーバー発売

2013年10月24日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本オラクルは10月23日、新しい「SPARC M6」プロセッサーを搭載した「SPARC M6-32」サーバーと、同サーバーを搭載するエンジニアド・システム「SuperCluster M6-32」を提供開始した。M6-32サーバーは最大32TBのメインメモリを搭載する“ビッグメモリマシン”で、アプリケーションやデータベースのインメモリ化を促進する。

SPARC M6-32サーバー(左)とSuperCluster M6-32

インメモリ化を促進するSPARCサーバーとSuperCluster

 SPARC M6-32サーバーは、12コアのSPARC M6プロセッサーを最大32個(コア数384個)搭載可能で、Solaris OSで稼働する。前述のとおりメインメモリ容量は最大32TBで、オラクルによれば、これは同等の競合製品比で2倍のキャパシティとなる。

 また従来機と同様に、ハードウェアレベル(CPU単位)での分割機能「ダイナミック・ドメイン」、ハイパーバイザーによる仮想化技術「Oracle VM Server for SPARC」、Solaris OSによる仮想化機能「Oracle Solaris Zones」を、いずれも追加費用なしで利用できる。ダイナミック・ドメイン1つにつきOracle VMの仮想マシンを最大128個作成し、Solaris Zonesによってさらに細かい単位でリソースの割り当てや隔離を実施できる。

 SPARC M6-32サーバーの最小構成価格(税抜)は、6585万8531円から。

 SuperClusterは「Oracle Database(Oracle DB)」やその他のオラクル製ミドルウェア、アプリケーションなどの実行/統合基盤として最適化されたエンジニアドシステム。SuperCluster M6-32では、最大2台のSPARC M6-32サーバーと、9台の「Exadata Storage Server」を搭載している。Exadata Storage Serverは外部ラックも含め最大315台まで増設が可能。

 新製品では最新プロセッサー、大容量メモリ、さらに独自圧縮技術(HCC:Hybrid Columnar Compression)などの採用により、同社のインメモリアプリケーションならば従来比で10~20倍、Oracle DBやJavaアプリケーションならば10倍程度のパフォーマンス向上が実現し、Oracle DBの容量は10分の1に圧縮されるとしている。

 さらに構築済みシステムとして出荷されるため、顧客が独自に構築する場合と比べて開発期間や管理/保守に要する時間も大幅に短縮される。

SPARC M6-32サーバー、SuperCluster M6-32の特徴

「パフォーマンスあたりの価格」をハイエンドシステムでも維持する

日本オラクル 執行役員 システム事業統括の飯尾光國氏

米オラクル システムズ・プロダクト・マネジメント&ストラテジ担当 シニア・バイスプレジデント、デイビッド・ローラー氏

 同日の発表会で日本オラクル 執行役員 システム事業統括の飯尾光國氏は、SPARC M6-32サーバーは“世界最速”をうたうSPARCプロセッサーと大容量メモリを搭載することにより、「オラクルソフトウェアでリアルタイム処理を実現していくための、オラクルハードウェアとしての回答である」と語った。今後は、さらなるインメモリアプリケーションの拡充とハードウェア最適化、そしてソフトウェア処理をハードウェアで実装し高速化を図る「Software in Silicon」の取り組みを強化していくという。

 また米オラクルのシステムズ・プロダクト・マネジメント&ストラテジ担当 シニア・バイスプレジデント、デイビッド・ローラー(David Lawler)氏は、SuperCluster M6-32はインメモリ技術によって「Exadata」や「Exalogic」が有する機能を高速化するマシンであり、“データ爆発”の一方でリアルタイム解析が求められている現在の状況にふさわしい製品であると強調した。

 またローラー氏は、オラクルでは多ソケットのハイエンドシステムにおいても、ローエンドと同等の「価格性能」(同一性能の実現にかかるコスト)を維持する戦略を取っていることを紹介した。

 「これまでは、ソケット数が増えるごとに価格性能は高くなっていた。これが『業界の常識』だったが、オラクルはローエンドからハイエンドまで、ほぼリニアな価格設定を行うことで、パラダイムシフトを起こそうとしている」(ローラー氏)

オラクルでは、ハイエンド機においてもローエンド機と同等の価格性能を実現する方針だという。右はIBM Powerサーバーとの価格性能比較

 さらにローラー氏は今後のロードマップについて、「SPARC M7/T7」がすでにラボで動作しており、新たなコアを搭載する「同 M8/T8」も計画されていることを紹介した。M7/T7では、Software in Siliconをさらに進化させるとともに、それに伴ってアプリケーション側の開発手法も変わっていくことが説明された。

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