四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第131回
究極の俺得アプリかそれともハープ業界の革命か
グランドハープを再現した「Handy Harp」は誰のために?
2013年10月19日 12時00分更新
ハープの打ち込みをすると手が痛い
―― ハープが届く前に話を始めましょうか。
佐野 これはね、光田さんの妄想と夢が詰まったアプリなんですよ。
光田 いや、完全に自己満足ですよねぇ、ホントに。もうノーマーケティングですから。
―― だいたいハープって、こう背中に羽の生えた天使さんとかね、そういう人が弾くような楽器ですよ。
佐野 湖の畔で人魚とかね。どっちかというとRPGのアイテムに近いような楽器ですよね。
―― なぜハープのアプリなんですか?
光田 ハープの打ち込みをする際に、他の人はどうやってDAWに打ち込んでいるか分かりませんが、僕はまず白鍵のみの鍵盤をグリッサンドするんです。それを何回もやっていると手が痛いわけです。しかも鍵盤をグリッサンドしてもその曲にあった音が弾けているわけではないんです……。白鍵しか弾いていませんので。結局、あとで細々とその曲にあったスケールやコードを弾いたものに対して編集して音階を作っていくしかないんです。
―― 痛い上に面倒くさいと。
光田 そうなんです。劇伴なんか時間がない中やるので、もっと手早く入力できるものはないかと、それで出ているソフトをいろいろ探したんです。ところがないんですよ。REAKTOR(NATIVE INSTRUMENTS社のソフトウェア。マクロを使って楽器の構造をプログラムできる機能がある)で作ってもいいかなと思ったんですが、それも面倒くさい。だから意外と劇伴をやっている人で、これで困っている人もいるんじゃないかなと。そんな時に、朝川さんがFacebookで紙で作った、ペーパーペダルの写真を上げていたんです。
―― 今日これからいらっしゃるハーピストの方ですね。
光田 そうです。ハーピストだから、ペダルの位置なんて身体に染み付いているんだろうと勝手に思い混んでいたら、スタジオに入って譜面にペダルの位置が書かれていないと、まず譜面を読んでペダルの位置を作らなければならないらしいんです、という話を聞いてビックリしまして。
―― すみません、あの「ペダル」って何ですか?
佐野 あ、そうだ。大前提として、ハープというのはペダルをセッティングして弾く楽器なんですよ。そこから始めないと。
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