このページの本文へ

なれる!SE 間違いだらけの?IT用語辞典(中二版) 第35回

理化学とミリタリーへの憧れが中二病につながるかもしれないIT用語

2013年11月07日 18時00分更新

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

回答編


いやいやいや、待ってください。クビは困ります。なんで懲戒ですか、勘弁してください。


だって立派にセクハラでしょう? 女性社員の前でスカート消すだの捲るだの。訴えられても仕方ないわよ?


いやだなぁ僕だってTPOはきちんとわきまえてますよ。梢さんやカモメさんの前で絶対そんな話はしません。


私は?


幼女にエロ話はノーカンでしょう。そういう対象じゃないんだから。


(ぷすっ)


ぎゃぁあああ! 顎がぁあああ! 顎がぁあああああああ!


(ドライバーをしまいつつ)失礼きわまりないわね、誰が幼女よ。
……ったく、ほら説明始めるわよ。白板に注目。


(絆創膏を貼りながら)はぁい……。


論理爆弾はセキュリティの用語ね。コンピュータのデータを破壊する不正プログラムのこと。


データ破壊? ……ああ、なるほど、だから論理的な爆弾と。


そう、物理的に筐体を壊すわけじゃないからね。破壊対象はユーザーデータからOSのシステムファイル、場合によってはMBR(*3)にも及ぶ。なのでデータ消失はもちろん、OS自体起動できなくなることもあるわ。


ん……定義は分かりましたけど……それってウィルスと何が違うんですか。ターゲットPCに感染して悪さをするって、まんまウィルスの特徴でしょう。


ウィルスはシステム丸ごとを破壊したりしないもの。あくまで自身の拡散が目的だからOS自体は生かしたまま更なる感染を狙う。論理爆弾は違うわ。ターゲットを沈黙させるのが目的なので、自分ごとシステムが消滅しても気にしない。


なるほど……まさに爆弾ですね。


丁度いいからもう少し用語の整理をしておきましょうか。まず細かい効果はおいといてPCに悪影響を与えるプログラムは総称してマルウェアと呼ぶ。この中にはスパイウェアからウィルス、論理爆弾まで含まれる。


一番大きなくくりがマルウェアなんですね。


で、自己増殖能力をもつものがウィルス・ワーム。そうでないものを効果別に色んな名前で呼んでる。バックドアをつくるものがトロイの木馬、情報を盗み出すのがスパイウェア、で、システムを破壊するのがロジックボム--今回の論理爆弾ね。


えーと……増殖するかどうかがキモなんですかね?


まぁそう覚えておいて問題ないわ。ちなみに論理爆弾で有名なのは1998年発見のチェルノブイリね。原発事故のあった4月26日になると発動してBIOS ROMの中身まで消去してしまう。被害総額2億5000万ドルとかかなり洒落にならない影響を出してるわよ。


恐ろしい……ちょっと僕、PCのウィルス対策ソフト、最新版になっているか確認してきます。


そうね、備えあれば憂いなし。きっちりチェックしてらっしゃい。

(バタバタと走っていく。しばらくして血相を変えて戻ってくる)


あの……室見さん、PCにログインできないんですけど。


はい? なんで?


分かりません。……なんか『このアカウントは無効です』とか出てきて。

通りすがりの採用担当 あ、室見さん。桜坂君の退職処理、やっといたから。念のため余計なアクセス権残ってないか確認しといて-。


………。


………。

(*3) マスターブートレコード。ハードディスクの先頭に配置され、どのOSを読みこむかなどの情報が格納されている。


【解説】

論理爆弾
ロジックボム。マルウェア(不正プログラム)の一種でPCのデータやシステムファイルを破壊する。感染目的は対象システムのダウンであり、原則として自身の複製は行わない。このため狭義のコンピュータウィルスとは区別される。代表的なプログラムにチェルノブイリなどがある。

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン