まだまだ謎が多い
Radeon R9/R7シリーズ
さて、ここからは今後の話だ。2013年9月にAMDはハワイにおいて「GPU 14 Tech Day」を開催して新製品を発表した。10月には製品の詳細スペックや性能も示されるとともに、評価ボードも提供されるようになり、早速ベンチマークも行なわれている。
10月8日に発表されたのはRadeon R9 280Xで、これは原則Radeon HD 8970というかRadeon HD 7970 GHz Editionであるが、GPU Boostが無効化されているのが相違点。
その下にあたるのがRadeon R9 270Xで、これはRadeon HD 8870、つまりRadeon HD 7870 GHz Editionに相当するが、こちらは微妙にコアの動作周波数を引き上げるとともにメモリーの速度をぐんと引き上げており、性能的にはやや従来より高くなっていると思われる。
その下のグレードになるのがRadeon R7 260Xで、これはRADEPM HD 8870というかRadeon HD 7790に相当する製品。ただこちらもコアの速度を1.1GHzまで引き上げて、性能改善を図っている。またこのRadeon R7 260XはTrueAudioを搭載した製品となるが、これについては後述する。
そしてバリュー向けに投入されているのがRadeon R7 250とRadeon R7 240である。こちらはどちらもOlandコアを初めてコンシューマー向けに持ち込んできた形だ。
これらの製品、性能という意味では既存とまったく変わらないが、いずれも大胆な値下げを行なったことで、性能/価格比はグンと改善している。Radeon R9 280Xなど、200ドルもの値下げになっているからだ。
もっとも競合であるNVIDIAも、やはりGeForce GTX 700シリーズで事実上の値下げをしているので、結果として言えばほぼ同等の価格帯で収まっている。
さて、ここまでの製品は既に発表済みなので、ここからは今後の製品について説明しよう。まずトップエンドではHawaiiことRadeon R9 290Xと、このサブセットであるRadeon R9 290が控えている。
こちらは純然たる新コアであり、NVIDIAのGeForce GTX Titanと競合できるスペックになっている“筈”なのだが、なぜかいまだに詳細が発表されていない。ただハワイのGPU14では、このRadeon R9 290X用のダイや、製品も展示されていた。
ここからGDDR5チップを16個搭載することがわかっているので、このダイサイズとメモリバス幅を見ただけで、かなり本気でハイエンドを獲得しようとしていることがわかる。現状ではスペックをすべて“?”にさせていただいたが、遠からず詳細スペックやベンチマーク結果なども出てくるであろう。
その次が、諸々空いている部分である。もともとSouthern Islandsの頃から、ほとんど50ドル刻みくらいで製品を投入するほど、ここの市場は製品数が多いから、当初発表の5製品+ハイエンドだけで全部カバーできるわけがない。
こちらもまだ詳細は発表されていないが、大雑把に言えばSea Islandsのラインナップをほぼ継承することになるとしている。具体的には、Radeon R9 280とR9 270、それにR7 260が用意されている模様だ。
このうちR9 280はほぼRadeon HD 8950と同等スペック、R9 270はRadeon HD 8870のサブセットというか、Radeon HD 7850のやや高速版にあたるスペックになるようだ。
そこまではいいとして、よくわからないのがRadeon R7 260。このコアはCape Verde PRX、つまりRadeon HD 8760、つまりRadeon HD 7770 GHz Editionの延長にあると聞いているのだが、Cape Verdeは、シェーダー構成が640/40/16で、768/48/16と言われるRadeon R7 260を構成するには無理がある。元々Cape Verdeのシェーダー構成が768/48/16だったら、もうとっくにそういう製品が出ていそうなものである。
また、Cape VerdeはTrue Audioに対応していないというあたりから、Radeon HD 8770というかRadeon HD 7790のBonaireコアをベースとした製品になるのではないか、と筆者は考えている。
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