富士通マーケティング(FJM)は、SaaS型のクラウドファイルサーバーサービス「AZCLOUDファイルサーバ」の提供を開始した。FJMからの直販に加えて、同社のパートナー経由での販売も行う考えだ。
AZCLOUDファイルサーバは、同社が展開する中堅中小企業向けのクラウドサービス「AZCLOUD(アズクラウド)」のラインアップのひとつに位置づけられるサービス。「シンプルさ」をコンセプトに、「使いやすく、リーズナブルで、安心できるサービス」を目指したという。
富士通マーケティング 商品戦略本部AZSERVICE推進統括部ITサービス推進部長の島田賢一氏は、「AZCLOUDファイルサーバや、インターネット経由でアクセスするだけで、簡単にファイルサーバーを利用できるクラウドストレージだ。WebDAVに準拠しているため、場所や端末(OS)に依存することなく、柔軟なワークスタイルに対応する。システム部門や専任の運用管理者が不在の中小企業でも、信頼性の高いクラウド環境に重要なデータを保管できる」と、新サービスの特徴を訴える。
AZCLOUDファイルサーバでは、最大10TBのクラウドストレージを全社やグループで共有して利用できる。契約から利用開始までは5営業日を必要とするが、その後は企業側の担当者がWebインタフェースからユーザーを登録し、ユーザーがクライアント端末に初期設定を行えば、すぐに利用できる。
「WebDAVに準拠しているため、OS標準のWindowsエクスプローラやMac Finderで直接クラウドストレージが利用できる。特別なツールが不要で、社内ネットワークのNASにアクセスしているような感覚でファイル操作ができる」(富士通マーケティング システム本部AZSERVICEサポート統括部テクニカルサポート部プロジェクト課長・相曽恵一氏)
専任管理者不在でもデータ保護や高速化を実現
AZCLOUDファイルサーバでは、専任IT管理者が不在の環境でも安心して利用できるように、AZCLOUD側で高度なデータ保護技術が適用される。
同サービスは、国内最高水準の高信頼性を実現した富士通グループの東日本地区のデータセンターで運用される。またデータはトリプルミラー(RAID 6および筐体二重化)により保護するほか、オプションとして西日本地区のデータセンターへの「遠隔バックアップオプション」も用意されている。
なおインターネット経路はSSL暗号化により保護されるほか、ストレージ保存時にも256ビットのAES暗号化が適用される。グローバルIPアドレスによる接続元の制限も可能。
またキャッシュ技術を活用することで、ファイルの一覧表示や何度も使用しているファイルのダウンロードが高速化されており、モバイル環境でもストレスなくデータを活用できるようにしている。FJMでは「既存のファイル共有サービスに比べて、2倍以上の高速化が図られている」としている。
管理機能としては、個人フォルダ、グループフォルダに対する容量制限(クォータ)の設定が可能で、ユーザーの使いすぎの抑制やディスク容量の効率的な運用ができる。一方、ユーザーが削除したファイルは「ごみ箱」に格納されて7日間保持され、誤って削除した場合もその期間内ならばユーザーが自由に復元できるようになっている。
加えて、FJMでは24時間365日のサポート窓口を標準で提供しており、クラウド環境の構築から運用までをサポートするとしている。
「ユーザー企業の現場では、PCだけでなくスマートフォンやタブレットとも手軽にファイルを共有したいというニーズが強い。特に写真や資料などを顧客に見せる接客業や営業の現場で活用したいというニーズに適している。短期間、低コストで簡単に導入できるように、今回のサービスでは回線サービスとは切り離し、クラウドを活用したファイル共有機能だけに絞り込んだ」(相曽氏)
標準価格(税別)は、初期費用が19万8000円、月額が4万9800円(容量500GB)から45万9800円(容量10TB)までとなっている。遠隔地バックアップオプション付きの場合は、月額6万4800円(容量500GB)から。なお課金単位は容量だけで、ID単位での課金はない。
「手軽に利用してもらうため、容量だけを課金単位とした。後発であるメリットを生かし、料金設定も戦略的に行い、大容量化すれば競争力が高まる料金体系となっている」(島田氏)
FJMでは無料試用サービスも用意しており、今後3年間で1000システムの販売を見込んでいる。