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ほぼ実録?広告部はkintoneで生まれ変わった! 第5回

スピードが上がり、売り上げも上がった

使ったら効果は絶大!kintoneの案件管理がチームを変えた

2013年10月30日 11時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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都内の中堅出版社AMWの法人向け広告の売り上げを上げるべく結成されたB2Bチーム。なかなか成果の出ない現状に焦ったB2Bチームのイシダは、IT系のWeb媒体を手がけるTECH.AMW.JPのオオタニに相談。課題を洗い出したイシダとオオタニは、目標の共有とコミュニケーションの促進がなにより重要だと考え、サイボウズのアプリケーション「kintone」を試すことにする。

登場人物

 

オオタニ TECH.AMW.jpの編集長。編集部の売り上げに直結するB2Bチームの営業効率を上げるため、イシダにサイボウズ「kintone」の導入を提案する。座右の銘は「なせばなる。なさねばならぬ何事も」。歴史小説が好き。








 

イシダ 第1広告営業部主任。部長モウリの命を受け、法人向け広告売り上げアップを目指すB2Bチームの数字を上げるべく、日夜奮闘する。座右の銘は「禍福はあざなえる縄のごとし」。ビジネス書が好き。








 

あーみん ある時はアルバイト、ある時は営業マン。オオタニが困ったときにいつの間にか現れ、ヒントをくれる女子。実はkintoneの中の人。なぜかカラーで、見た目の厳しいモノクロビジュアルばかりの現場を潤してくれる。ドーナツが好き。


edge

サイボウズの営業(に扮した)あーみんのススメにより、アプリストアで人気一位の「案件管理」を導入したオオタニ。B2Bチームの営業マンたちのアクションを逐一「見える化」する案件管理は、果たして効果を上げたのか?

*本記事の内容はあくまでフィクションで、登場人物や会社名などは実際のものではありません。本当です。

イシダ、B2Bチームに決意を見せた!

 「顧客DB」に引き続きkintoneのアプリとして「案件管理」を試し始めたB2Bチーム。B2Bチームマネージャーのイシダはまずkintone自体の試用を止め、月額料金を支払ってkintoneを正式導入することにした。それに伴い、イシダは今までのようにExcelファイルをメールに添付する方法での日報やレポートも禁止し、以降はkintoneの案件管理でのみ行なうよう、B2Bチームのメンバーに通知した。

お前ら!俺に付いてきてください!

 驚いたのは、効果が出るまでkintoneの利用料金をイシダが自腹で払うと宣言したことだ。880円/月とはいえ、オオタニ含めて6人分の利用料となると毎月5000円強の出費は決して軽くない。会社の業務でkintoneを利用するわけだから、携帯電話やスマホと同じように、月額利用料金を支払うようにすればいいはずだ。しかし、イシダは「飲みに行くのを1回減らせば、5000円くらい出る。それより、B2Bチームが年末までに予算をきちんとクリアし、上司に評価されれば、5000円以上のリターンが得られるはずだ」と意に介さない。まず3ヶ月くらいkintoneを本気で使い、導入効果を認められたら、コストをかけるに値するサービスと判断されるだろうというのが、イシダの意見だ。イシダはB2Bチームに本気を見せたのだ。

 オオタニにとっても、イシダが3ヶ月支払ってくれるのはありがたかった。前回話したとおり、AMWではSaaSの利用に関して明確なルールがなく、基本的には会社貸与の携帯電話やスマホ、あるいは部署ごとの利用しているホスティングや外部メールサービスと同じ扱い。しかし、利用の可否は完全にケース・バイ・ケースで、技術部の裁量によっては、会社としての利用申請にNo!を突き返される可能性もあった。そのため、まずはB2Bチームできちんと実績を作り、広告営業部の部長を動かしてから、kintoneの全面導入にこぎ着けたほうがよいと考えていたのだ。

2週間で劇的に効果が現われる

 案件管理では会社名、部署名、先方担当者などの顧客情報、案件担当者名、見込み時期、確度、製品名などの案件情報、そして活動履歴などの入力項目が用意されている。はっきり言って多いし、面倒だ。最初は入力を面倒くさがっていたB2Bのメンバーだが、「効果が出るまで自腹斬る!」と宣言したイシダの鼻息の荒さに負け、営業活動を登録するようになってきたのだ。

 さて、「まずは2週間!」と謳うヘアトリートメントやシリアルの宣伝ではないが、案件管理の効果は使い始めてきっかり2週間後から現れた。

使って2週間、その効果が現れる!

 まずB2Bメンバーの訪問件数自体が劇的に増えた。案件管理では月ごとの目標金額や達成金額をリアルタイムに確認できる。そのため、各メンバーがどれくらい数字をとってくればよいか、数字を達成するにはどれくらいの訪問件数をこなさなければならないか、一目瞭然なのだ。B2Bメンバーに加え、編集部のオオタニも顧客DBの拡充に注力しているので、アタックリストはすでにある。ここまでお膳立てされていれば、あとはメールや電話でアポイントを取ってくればよい。やっているのはB2Bチームでの目標数値の共有だけだが、これだけでも十分な効果があったのだ。

 また、クライアントのレスポンスもスピーディになった。訪問件数が増えると、自ずと担当が抱える宿題も増える。「こういうテーマで企画をもらえないか?」「見積を作り直して欲しい」「ちょうどコンペをやるので参加して欲しい」「新製品の出るタイミングなのでアピールしたい」など、クライアントからさまざまなリクエストが出てくるので、それらに迅速に対応する必要が出てくる。これらをkintoneの案件管理で活動履歴として逐一登録しておく。

確かにデフォルト状態の案件管理の入力項目は多い

 すると登録のたびに、イシダがその活動に対してコメントをするようになった。たとえば、クライアントから企画の再修正を依頼されたコニシには、作業を放置しないよう、編集部にも協力を依頼した。編集部側からも案件に対して、マーケティングやPR担当者が関心を持ちそうな切り口などを迅速にコメントするようにした。また、訪問件数の多いアンコクジには、営業内容にあわせて、訪問数を一定条件で絞り込むよう、アドバイスした。このように営業活動のアフターフォローが充実するようになったことで、クライアントの信頼度は上がり、B2Bのメンバーも効率的な訪問計画が実現するようになった。

コメント機能でイシダもきめ細かなフォローが可能に

 そして、最終的には売り上げが上がった。案件管理を導入した2週目にあたる月曜日の朝、金額の大きいビジネス商材のアイタップが立て続けに2件決まったのだ。しかも両方ともAMWで今まで取り引きのないクライアントだ。決め手を欠いていた案件をブラッシュアップし、料金面での調整にも迅速対応できたところがクライアントから評価されたようだ。次の週も続いて、2件の案件が本決まりとなり、月の予算がすでに達成となってしまった。まさに劇的といえるB2Bチームの成長ぶりである。

(次ページ、成功の秘訣はkintoneとマネージャの本気)


 

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