本当にシングルBA? なんだこの迫力は!
早速聴いてみた。「解像度が高い」「良質な中高域」「代わりに低域の迫力や全体的な音圧感が足りない」と評されることがしばしばあるシングルBA機だが、X11iはちょうど真逆に感じられた。「ボンボン」というベース、あるいは「ごーん」という低域のうねりのようなものが感じられ、シングルBA機とは思えないすごい迫力。「とにかく迫力のある音を!」という人は一発で気に入るはず。
一方、中高域は低域に若干埋もれ気味で、質が多少犠牲になっている印象だ。同じ理由で、音の分解性能も特別高くはない。ゆえにフラットな音、モニターライクな音が好みの人には向かないかもしれない。好みが大きく分かれそうなので、ぜひ実際に聴いてみてほしい。
しかし、この小さな筐体のどこにこんなパワーがあるのだろうか! ジャンルとしては、ロックやR&B、テクノなどとは非常に相性がよさそう。ミキシングの段階で低域を強調したソースと組み合わせると、「うわー! ライブみたいだー!」と感じるレベル。対して、高域の「シャリシャリ感」、ハイハットなどの「カンカン」「キンキン」とした音はまろやかで耳に痛くないので、聴き疲れもしにくそう。
また、ウィンドオーケストラや室内楽とも相性ばっちり。低域のうねりが程よく作用し、何とも雄大な音が感じられるはずだ。音数の少ない室内楽は、どの音も埋もれることなく、かつ張りのある音で耳に届いてきて、楽しく聴ける。(「ウィンド」としたのは、音数が多過ぎると、やはり多少埋もれる音が出て来るように感じたため。)
末尾の「i」はリモコン付きの証
便利なのが、ケーブルの途中に配置されたリモコンだ。ボリュームの大小に加え、曲の再生/停止、曲送り、曲戻し、早送り、巻き戻しに対応する優れもの。再生/停止は一度押し、曲送り/早送りは二度通し/二度押しで押しっぱなし、曲戻し/巻き戻しは三度押し/三度押しで押しっぱなしと、操作も単純明快。着信時は受話/終話ボタンにもなる。
リモコンにはマイクが搭載されているため、ヘッドセットとしても利用できる。マイクは無指向性なので、わざわざ口元に近付けなくていい点もメリット。ちなみに前機種、末尾にiの付かない「Image X10」にはリモコンが付属しない。基本的な仕様は似通っているので、単純にイヤフォンとしてのみ使いたい場合はImage X10を選ぶのもいいだろう。いずれにせよ高額な機種なので、視聴して納得した上での購入をすすめたい。
価格はオープンプライス。9月27日時点での実売価格は2万7000円前後となっている。