魅力たっぷりのネットワークHDDプレーヤー
「HAP-S1」
基本的な使い方を紹介したところで、HAP-S1の性能的な部分を紹介していこう。HAP-S1はアンプ搭載型プレーヤーで500GBのHDDを内蔵。
USB HDDの増設にも対応しており、内蔵HDDの容量が足りなくなっても心配はない。HDDの楽曲は一括管理されるので、保存先のHDDごとに選曲するなどの手間は不要だ。
ボディーは幅265mmのハーフサイズで、フロントおよび天面は一体となったアルミ板を採用。剛性を高めているだけでなく、見た目も立派だ。
内蔵するアンプは、左右独立構成の広帯域パワーアンプ。新規に開発された大型電源用ブロックコンデンサーを採用するなど、オーディオコンポとしてきちんとした作りになっている。アンプ出力は23W+23W(4Ω)だ。
続いて、本機の試聴に使用したスピーカーであるSS-HA1(3wayタイプ)についても紹介する。
幅184.6×高さ310mmのサイズで、斜めにカットされた前面のデザインが特徴的だ。側面および背面は楕円形状にラウンドしたアルミ板となっており、こちらも見た目の高級感はなかなかのもの。剛性の高いアルミをエンクロージャーに使用したため、木材のエンクロージャーに比べて板厚をかなり薄くでき、内容積が大幅に大きくなっていることが大きな特徴だ。
このため、決して大きなサイズのスピーカーではないが、サイズを超えたスケール感の豊かな音を楽しめる。
もうひとつの特徴はスーパートゥイーター。ハイレゾ再生対応のため、超高域の再生を受け持つ。実は前面だけでなく上部にも備わっており、3way4スピーカー構成となっている。上部トゥイーターは音の広がりを豊かにするもので、部屋のどこにいても広がり感のある音を楽しめるようにするものだ。
上品な音質ながら力強さもきっちり再現
さっそく、その音を聴いてみよう。試聴曲はいずれもDSD 2.8MHzの音源だ。ジャズ系のブルースを聴いたが、音が滑らかで品のいい再現だ。
ハイレゾらしい解像感もしっかりとあるし、それでいて不自然に音のエッジが強調されることもなく、自然で大人っぽいサウンド。ミニコンポ的な位置づけではあるが、この音ならば上質な単品コンポーネントを求める人でも満足できるものになっている。
マイルス・ディヴィスの名盤「カインド・オブ・ブルー」を聴くと、ベースの胴鳴りもなかなかしっかりと出ているし、特徴的なトランペットの音色も忠実度の高い再現だ。上質というか、やや大人しい感じで、熱気や情緒的な表現はやや物足りないが、色づけのない正確な音と言える。
やや上品な音質傾向ではあるが、ポップスなども勢いやキレ味はきちんと出せるなど、エネルギー感や力強さはきちんと再現できる。相性がよさそうなのは女性ボーカル曲で、透明感のある声を美しく再現できるだろう。
もうひとつ付け加えるならば、選曲の速さ、再生開始の速さには改めて驚く。ジャンルやアーティスト別のリストはジョグダイヤルを回すとその速さに合わせてリストがスクロールするし、曲を選んで決定すればわずかなタイムラグさえ感じさせずに再生がはじまる。
当たり前だがCDの選曲よりもはるかに高速で、従来のネットワークプレーヤーの再生とは比較にならない快適さだ。すでにネットワークプレーヤーを使っている人にもぜひともこの快適さを実感してほしいと思う。
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