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ソニーが本気で参入してきたハイレゾオーディオの世界! 第3回

USB DACも! ソニーの据置ハイレゾ機器を最速レビュー

2013年09月26日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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誰でも簡単に使えること
ソニーの考えるネットワーク時代のオーディオ

HAP-S1

HAP-S1

 ソニーがなぜネットワークプレーヤーにHDDを内蔵したのか? 結論から言ってしまえば、誰でも簡単にハイレゾ再生を楽しめるようにするためだ。現在のPCオーディオやネットワークオーディオは、PCに詳しい人ならばともかく、ごく普通にオーディオ機器を使っている人にとっては、PC関連で覚えなければならないことが多く、導入するにはハードルが高かった。

 それを解決するのがHDD内蔵というわけだ。まずは、HAP-S1でのハイレゾ音源を含むネットワーク再生の方法を解説しよう。

 まず、ハイレゾ音源の購入などはPCで行なう。楽曲の管理というよりも保存はPC内のHDDでもいいし、NASでもいい。ここまでは一般的なネットワーク再生と同じだ。

 HAP-S1運用にあたって必要なのは、PCに自動転送PCソフト「HAP Music Transfer」をインストールすること。転送ソフトの設定やPC(NAS)をサーバーとするための設定なども必要になるが、実はPCで行なうことはこれだけ。

 つまり、音楽配信サイトの購入やCDからのリッピングなど、デジタルデータとしての音源を手に入れ、保存するまでの作業でしか、PCは必要がない。

HAP-S1のネットワーク設定画面。有線LANと無線LANが選べる。無線LANはWPSに対応しており、比較的簡単に無線LAN接続の設定できる

HAP-S1のネットワーク設定画面。有線LANと無線LANが選べる。無線LANはWPSに対応しており、比較的簡単に設定できる

 HAP-S1側でやることは、家庭内LANへの接続だ。HAP-S1は有線LAN/無線LANに対応しており、ネットワーク接続はどちらでも好きな方を選べる。

 転送ソフトの設定でPCまたはNASなど、音楽ファイルを保存した場所を設定しておくと、転送ソフトはネットワークに接続されたHAP-S1やHAP-Z1ESを見つけ、自動的に指定されたフォルダにある音楽ファイルの転送を始める。

 結果的にPC側の準備と、プレーヤー側の準備が済むと、PCで管理していた音楽ファイルはすべてHAP-S1やHAP-Z1ESの内蔵HDDにコピーされる。以後、新規に指定した音楽フォルダーに新しい楽曲が追加されると、その都度データのコピーが自動で行なわれる。

 この後、音楽再生するときには、PCもNASも必要がない。必要な音楽ファイルはすでにプレーヤーの内部にあるのだから。

 これにより、わずらわしいPCやネットワークの設定に悩まされる可能性が低くなるだけでなく、再生開始までの時間の短縮も実現できる。

 PCにしろNASにしろ、音楽を聴くときにいちいち起動する必要がなく、起動待ちの時間が不要であるのに加え、DLNAによるネットワーク再生ではつきものの再生開始時の待ち時間(キャッシュ時間)が必要ない。再生時にはネットワークによる信号伝送を行なわないので当たり前の話だが、従来のネットワークプレーヤーでの再生をすでに行なっている人は、その再生の速さに驚くだろう。

 さらに付け加えれば、HAP-S1の内蔵HDDに楽曲が保存された時点で、HAP-S1は楽曲のデータベースを作成するため、曲の検索や選曲も驚くほど高速。ちなみに、データベース作成のための楽曲のタイトル名などのメタデータは、gracenoteのデータベースから取得する。

 この簡単さと快適さは、今までのネットワークプレーヤーでは得られなかったものだ。PCオーディオやネットワークオーディオが難しそうと感じていた人もこれなら使えると感じるだろう。

本体に大型ディスプレーを搭載! 操作もわかりやすい

ホームボタンを押すと表示される操作メニュー。再生中のタイトルを表示する画面のほか、検索用のジャンル/アーティスト/アルバム/トラックがある

ホームボタンを押すと表示される操作メニュー。再生中のタイトルを表示する画面のほか、検索用のジャンル/アーティスト/アルバム/トラックがある

 本体前面には4.3インチのカラーディスプレーを備えており、前面の操作ボタンで行なう音楽再生などの操作もGUIがしっかりしていてわかりやすい。

 ホーム画面を見ると、ジャンルやアーティスト、アルバム、トラックなどの表示切り替えメニューがあり、保存した楽曲を一覧できる。

ジャンル別表示の画面。ジャンル名が一覧表示され、保存されている楽曲数が表示される

ジャンル別表示の画面。ジャンル名が一覧表示され、保存されている楽曲数が表示される

 アーティスト名でも、ジャンルでも探しやすいもので聴きたい楽曲を探せばいい。メニューの選択はジョグダイヤル式で、ダイヤルを押し込めば決定という直感的なものなので、誰でもすぐに使えるだろう。

「おまかせチャンネル」のチャンネル名一覧。「朝のおすすめ」をはじめ、時間帯別のおすすめがある

「おまかせチャンネル」のチャンネル名一覧。「朝のおすすめ」をはじめ、時間帯別のおすすめがある

気分に合わせてアクティブやリラックスなどのチャンネルも用意されている

気分に合わせてアクティブやリラックスなどのチャンネルも用意されている

アップビートやダンスフロアなど、友人が集まったときに役立つチャンネルもある

アップビートやダンスフロアなど、友人が集まったときに役立つチャンネルもある

 曲選択でユニークなのが、ソニー独自の「おまかせチャンネル」が備わっていること。これは、従来までのソニーのネットワークHDDコンポなどにもあった機能で、すべての楽曲を独自の「12音解析技術」を使って曲のムードなどで独自に分類し、時間帯や気分に合った曲を自動で再生する機能。

 ここで、早朝ならば「朝のおすすめ」を、仕事帰りには「リラックス」など、テレビのチャンネルを選ぶような感覚で項目を選べば、そんな気分やシチュエーションに合った楽曲が自動再生されるのだ。

インターネットラジオのメニュー。選択すると、世界中のインターネットラジオ局のリストが表示され、自由に選んで聴取できる

インターネットラジオのメニュー。選択すると、世界中のインターネットラジオ局のリストが表示され、自由に選んで聴取できる

再生時の画面。画面の背景色はジャケット写真に合わせて自動で切り替わる。なかなかしゃれた演出だ

 このほか、インターネットラジオ機能もある。こちらは一般的なインターネットラジオなのでネットワーク経由の再生になる。世界中のインターネットラジオ局の放送を手軽に受信して楽しめる。

「HDD Audio Remote」のタブレットでの操作画面

 こうした操作は、本体での操作だけでなくスマホ/タブレット用アプリ「HDD Audio Remote」で行なうこともできる。インターフェースは画面のGUIと同じデザインながら、フリック操作を組み合わせて手軽に使える。

 本体内部のデータベースも同期するため、スマホアプリでも高速な検索ができ、快適に使える。付属のリモコンは再生の基本操作のみなので、視聴位置から手軽に使いたい人はスマホアプリを使うといいだろう。

 このアプリはiOS 5.1もしくはAndroid 2.3以上の端末(WVGA以上の解像度が必要)で利用できる。

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