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PCオーディオでアイドルを聴く人がいるから、高音質を届けたい

オーディオメーカーと音楽制作者が考える、本物のいい音とは (6/7)

2013年10月01日 15時00分更新

文● 編集部、外村克也(タトラエディット) 写真●今井宏昭

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オーディオ側、制作側ともに位相の管理は厳重

小島 48kHz系と44.1kHz系の違いをエンジニアリングされる人はどのように捉えているんですか? 機材は48kHzで、CDは44.1kHzじゃないですか。再生機器を作る立場だと48kHzと44.1kHzの割り切れない数字どうしの変換歪が気になるのですが……。96kHzと48kHzの関係ならスッキリするんですけれども。

松隈 そこまでは考えたことがないですね。アーティスト系や現場系は、44.0kHzならいいのに、とは思っています。楽器のチューニングが440Hzなので。みんな441Hzでチューニングしないといけないんですが、一部のバンドマンはそういうの適当だから、なんかチューニング悪いなと思って聴いたら「440Hzでやっていました」とか。440Hzがいたり441Hzがいたりで、ぐしゃぐしゃになっちゃっているとか。ただアレンジャー的に、エディットしたり曲を作りながらの収縮が多いので、そういう意味で48kHzか96kHzぐらいで作っていきたいなと。毎回変換されるわけではないです。

小島 もうひとつ聞いてみたかったのが位相についてなんです。録音済みの素材を複数のトラックに貼りつけているときに、位相の管理はどうやるのかなと。特定の音の立ち上がりを見ながらタイミングって作っていけるのですか?

松隈 人によると思いますし、専用のソフトもあったりします。ボタン1つで位相を逆にしたりずらしたりとかも結構できますけど、多分今の若いエンジニアとかアレンジャーは気にしないというか、わかっていないと思います。僕の場合はもう画面を拡大して波形を見ながらずらしたり、音を聴いて全部調整しています。位相が合っていない部分はずらして手動で調整しますね。

小島 結局耳で聴いて違和感があるかないかというのが一番重要だと思うんですけれども。

松隈 気づかずに悪い音でやってしまう人も多いかもしれないですね。

小島 機器を作るっていうのはガチガチに論理的に積み上げなくてはいけない局面もあって、位相に関してはとても厳しく管理しています。たとえば電源もそうなんです。日本の2股コンセントは電源ケーブルを差し込む向きを強制できないじゃないですか? ただ、オーディオ機器にとっては、それを正しい向きに挿入してほしいわけです。接続した機器すべての電源の位相が同じになっていないと音の輪郭があいまいになってしまいがちです。これはオカルトではないので、ぜひ実践してほしいですね。

松隈 なるほど。

小島 オーディオは再生の趣味ですから、パッケージのCDが神様なんです。唯一のオリジナルという意味で。それがどういう風に作られていようが、おさめられた情報をいかに引き出すかってことが至上目的です。なにも知らなければ盲目的に信じればいいのですが、ある程度制作している環境が見えてくるとオーディオ的にも配慮してほしいなと思うんです。今はスタジオでも相当こだわる人が増えてきているらしいですね。

松隈 電源については自分がギターをやっているときは結構こだわっていましたね。三つ又じゃないととか。でも、電源をこだわるとお金が足りなくなってヤバいという定説があって。

小島 たしかに程度の問題はありますよね(笑)。

松隈 こだわりのある人は200Vをちゃんと引いて、分散も大きいもので。ディストリビューターでやってる人は結構いますけど。

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