PCでハイレゾ再生を行なうための設定
PCそのものは決してオーディオ機器のように音質を優先した設計になっていないので、それなりのカスタマイズが必要になる。Windowsで定番となっている高音質化テクニックがWASAPIの利用だ。
WASAPIとは、Windows Vista以降のWindows OSに備わるオーディオAPIで、これを使うことで再生音質を大きく向上させることができる。ここでは「Foobar2000」を例にしてその手順を説明していこう。
Foobar2000の場合、機能の多くはコンポーネントとして独立しており、必要なものを後から追加していく仕様になっている。このため、まずはFoobar2000公式サイトの「Components」のページへ行き「WASAPI output support 3.2.3」(http://www.foobar2000.org/components/view/foo_out_wasapi)をダウンロードする。
ダウンロードしたファイルをインストールしたら、Foobar2000を起動して「File」メニューにある「Preferrennces」を開き、サイドメニューから「Output」の項目を選択する。
そこには、PCに接続されているオーディオ機器のリストが出てくるので、標準である「DS:****」ではなく、「WASAPI:****」を選ぶようにする。基本的にはこれで、WASAPI排他モードによる高音質再生が行なえるようになる。
この仕組みについて簡単に解説しておくと、Windows OSでは、ビープ音から再生ソフトの音まで、PCから出力するさまざまな音をひとつにまとめて管理し、音を出す仕組みになっている。
普通に使うならば便利な仕組みだが、オーディオ機器と考えると、その他のいろいろな情報が混ざるし、余計な処理を経由するので音質への影響も気になる。
そこで、WASAPI排他モードとすることで、音楽データを独立させ最短の経路でオーディオデバイスへ直接信号を送れるようになる。これがかなり音質に効果があるので、Foobar2000を使うならば、最初に済ませておきたいカスタマイズだ。
また、DSD音源の再生に対応させるには、やはりコンポーネントの追加が必要になる。こちらは、「ASIO support 2.1.2」(http://www.foobar2000.org/components/view/foo_out_asio)の追加が必要だ。
PCオーディオ再生に不可欠なUSB DACを組み合わせる
WASAPIの設定など、いろいろと面倒な手間がかかるPCオーディオ再生だが、実はこれだけでは不十分だ。
PCのCPUの高クロックが発する高周波ノイズの影響はオーディオ信号にとってはかなり深刻な問題で、そのままPC内でアナログ信号に変換してしまうと、その影響を受けてしまう。ハイレゾ音源の魅力である細やかな音楽の変化や微妙な余韻などがノイズで埋もれてしまい、聴き取りにくくなってしまうのだ。
ならば、信号をアナログに変換せずにデジタルのままPCの外に出してしまえばいい。それを可能にするのがUSB DAC。USB端子がデジタル信号を出力し、PCとは別の場所でアナログ変換を行なうというわけだ。
USB DACにもいろいろな種類があるが、基本的には対応するサンプリング周波数に注意すればいい。大別すると、96kHzまで対応のものと192kHz対応のものにわかれる。
96kHzまでのものは汎用のドライバーで使えるので、特別なドライバーのインストールなどが必要ない。192kHz対応のものは専用ドライバーが必要になるので、これをインストールする。
このほか、DSD音源の再生に対応するものもある。こちらも専用のドライバーソフトが必要となる。
製品によっては、専用ドライバーだけでなく、専用のプレイヤーソフトが付属するものもある。この場合は、ソフトをインストールするだけでFoobar2000のカスタマイズのような手間のかかる設定もなく、比較的簡単にハイレゾ音源やDSD音源の再生が可能。ソフトのインストールなどが難しくてわかりにくい人はそうした製品を選ぶのも手だ。
PCオーディオ向けのUSB DACは多くがコンパクトなボディーとなっており、ノートPCと組み合わせて使うのにも便利だ。あとはアンプやスピーカーといったオーディオ機器に接続すれば、より良質な音楽を楽しめるようになる。
単品コンポは大げさだという人には、アンプを内蔵した「アクティブスピーカー」がおすすめだ。小型モデルも増えているし、アンプの置き場所が不要なので、机の上の限られたスペースでも十分に楽しめる。また、ヘッドホンアンプ機能を持つものも多いので、ヘッドホンでハイレゾを楽しみたいという人にも有効だ。
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