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渡辺由美子の「誰がためにアニメは生まれる」第31回

『翠星のガルガンティア』村田和也監督インタビュー 前編

村田監督と虚淵玄氏が回した“利他的な歯車”

2013年10月12日 12時00分更新

文● 渡辺由美子(@watanabe_yumiko

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SFテイスト満載のロボットアニメでありながら、「仕事もの」かつ「船団もの」として作られたという『翠星のガルガンティア』。監督の村田和也氏にその意図を詳しく伺った。 (C)オケアノス/「翠星のガルガンティア」製作委員会

後編はこちら

 テクノロジーが発達した世界で敵殲滅のために戦っていた少年兵士レドが、水の惑星・ガルガンティアに不時着した。そこは船同士を繋げて暮らしている“未開の地”。この地で生きていくために、レドは初めて戦闘以外の行動を求められ、船団の中で「働く」ことになる――。

 本作品は、人工知能ロボットを初めとする緻密なSF設定と、海や自然とともに生きる土着的な人々の描写という両極が同居している。村田和也監督は、今作のロボットアニメを手がけるにあたり、プロデューサーチームが掲げた「仕事もの」というテーマと自身が暖めていた「船団都市」というテーマを中核に据えたという。

 工業デザイナーとしてメーカーで働いたのちスタジオジブリに入社、アニメーションの世界に入ったという経歴を持つ村田氏は、作中に登場させた「人類銀河同盟」について、「目的地が定まらなくなった巨大組織に似ている」と語った。

 “巨大組織”が陥りがちな罠とは何か? 人は何のために働くのか? 仕事とは「利他欲求を満たすことによって利己欲求を満たすもの」と語る村田氏は、ゲーム業界出身で独特の作風を持つ脚本家・虚淵玄氏との“異文化コミュニケーション”についても語ってくれた。

村田和也監督プロフィール

『翠星のガルガンティア』監督・村田和也氏

 1964年生まれ。大阪府出身。建築関連の設計・工業デザインの仕事を経て、スタジオジブリに入社、演出研修生となる。
 劇場アニメ『おもひでぽろぽろ』(1991年)とTVアニメ『海がきこえる』(1993年)の演出助手を経て演出家に。
 主な演出作品に『剣風伝奇ベルセルク』(1997年)、『プラネテス』(2003年)、『交響詩篇エウレカセブン』(2005年)など。
 『コードギアス 反逆のルルーシュ』(2006年)では副監督を、劇場アニメ『鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星』(2011年)で監督を務める。


『翠星のガルガンティア』あらすじ

 遠い未来、遥か銀河の果て。人類は、異形の怪生命体ヒディアーズと種の存続を賭けた戦いを続けていた。激しい戦いの最中、少年兵レドは乗機である人型機動兵器チェインバーとともに時空のひずみへと呑み込まれる。人工冬眠から目覚めたレドは、忘れられた辺境の惑星・地球へと漂着したことを知る。表面のほぼすべてを海に覆われた地球で、人々は巨大な船団を組み、旧文明の遺物を海底からサルベージすることで、つつましくも生き生きと暮らしていた。ここはそんな船団の一つ、ガルガンティア。言葉も通じない、文化も習慣も異なる未知の環境に戸惑うレド。やむをえず、少女・エイミーらガルガンティアの人々との共生を模索し始めるのだが、それは戦うこと以外の生き方を知らないレドにとって驚きに満ちた日々の始まりだった。(『翠星のガルガンティア』公式サイトより)

(C)オケアノス/「翠星のガルガンティア」製作委員会
(C)オケアノス/「翠星のガルガンティア」製作委員会

続編も制作決定! BD-BOX 第3巻 10月25日(金)発売!

『翠星のガルガンティア』Blu-ray BOX 3 価格1万6800円(税込) (C)オケアノス/「翠星のガルガンティア」製作委員会

発売日:2013年10月25日(金)
価格:1万6800円(税込)
収録内容:本編第10話~第13話+完全新作OVA第15話の全5話を収録

特典内容
【映像特典】
■完全新作OVA 第15話「まれびとの祭壇」(24分)収録!
■ノンテロップ映像集<オープニング ver.1、オープニング ver.2、エンディング、第12話 アバンタイトル、第13話 アバンタイトル、第13話 エピローグ>

キャラクター原案・鳴子ハナハル氏の描き下ろしコミックも封入 (C)オケアノス/「翠星のガルガンティア」製作委員会

【封入特典】
■スペシャルCDブック「GARGANTIA LOGBOOK3」(全100P)
 ガルガンティアの全てを徹底網羅したスペシャルCD BOOK!
 表紙イラスト:鳴子ハナハル
 [CD]スペシャルドラマCD
「エイミー・メルティ・サーヤのガールズトーク ~乙女の秘密篇~」
【キャスト】エイミー(CV:金元寿子)、メルティ(CV:阿澄佳奈)、サーヤ(CV:茅野愛衣)
「チェインバー支援啓発室 ~ラケージ篇~」
【キャスト】チェインバー(CV:杉田智和)、ラケージ(CV:恒末あゆみ)
「宇宙少年とブリキ野郎 ~黄昏空中さんぽ篇~」
【キャスト】レド(CV:石川界人)、チェインバー(CV:杉田智和)、エイミー(CV:金元寿子)
 [BOOK]
鳴子ハナハル描き下ろしコミック(10P)
書き下ろし小説(41P) 執筆:谷村大四郎、監修:虚淵 玄(ニトロプラス)
ガルガンティアデザインワークス<キャラクター編>
スタッフインタビュー ほか
■絵コンテ集 第13話:村田和也(244P)
■イラストカードコレクション Vol.3(8枚)

【音声特典】
■第13話スタッフコメンタリー
 出演/村田和也(監督)、虚淵 玄(シリーズ構成・脚本)、平澤 直(プロデューサー)、【司会】藤津亮太(アニメ評論家)
■第13話キャストコメンタリー
 出演/石川界人(レド役)、杉田智和(チェインバー役)、小野友樹(クーゲル役)、藤村 歩(ストライカー役)
■第13話スペシャルコメンタリー「打ち上げ編」
 出演/石川界人(レド役)、金元寿子(エイミー役)、杉田智和(チェインバー役)、伊藤 静(ベローズ役)、小西克幸(ピニオン役)

【仕様】
■BOXイラストは、キャラクター原案・鳴子ハナハル描き下ろし!
■両面描き下ろしインナージャケット

スペック
品番:BCXA-0753
カラー/131分(本編94分+特典37分)/リニアPCM (ステレオ)
AVC/BD50G/16:9(1080p high definition)/英語字幕付


■Amazon.co.jpで購入

『翠星のガルガンティア』が少年兵士レドの成長物語になった理由

―― 『翠星のガルガンティア』(以下、『ガルガンティア』)は、ロボットに乗った少年兵士レドが、未開の地ガルガンティアに不時着したところから物語が始まりました。テクノロジーが高度に発達した人類銀河同盟で育ったレドが、水の惑星ガルガンティアでたくましく生きている船団の人々に触れて変わっていきます。物語にはSF設定がベースとしてありつつも、レドの成長に重きが置かれていました。レドの成長物語にした理由は何でしょうか。

村田和也監督 ロボットものとして企画された『ガルガンティア』ですが、ロボット以外にもうひとつ、プロデューサーチームから提示されたテーマとして「仕事もの」というのがありました。「仕事とは何か」ということを切り口にして、働く人々の姿や考え方を描くことによって、これから仕事に就こうとする若者たちを応援し、その背中を押してあげられるような作品にしたいということでした。

 それならば、「仕事」というものがそもそも何であるかを知らず仕事に対して確固とした考えを持っていない若者を主人公として、その彼が、仕事とはどういうものであるのかを模索し獲得していく物語にするのがいいんじゃないか、と考えたわけです。そしてそのことによって、主人公が人間的にも成長していくお話にしたいなと。というようなことで、本作がレドの成長物語になったのは、この企画のテーマから導き出された自然な流れからでした。

 レドという少年は人類銀河同盟で生まれたのですが、この人類銀河同盟には「敵であるヒディアーズを殲滅する」という目的があって、レドも同盟の一員として忠実に任務である戦闘を行なっていました。

 ところが、戦闘中に地球に不時着してしまう。レドからすれば、存在するかどうかも分からなかった伝説上の星です。だから地球に関する予備知識はほとんどありません。この時代の地球にはほとんど陸地がなく、人々は海の上で船に乗って暮らしていて、そうした船たちが寄り集まって出来た「船団」という共同体で生活をしています。

 生きるために魚を取ったり、水を集めたり、廃材から船を修理したり、バーベキューをしたり。

 レドから見れば、“未開の地”での彼らの暮らしぶりは驚くほど効率が悪く、合理性とはほど遠い生活をしていると映ります。けれどもレドは、今まで自分に命令を下していた銀河同盟との連絡が途絶してしまい、ここで初めて自分の頭で考えて行動を決断しなければいけない状況に陥ります。レドは、あくまでも銀河同盟の一兵士として行動しようとしますが、どう考えてどう動くべきかは、この地球で生きている人々の様子から判断するしかありません。レドは船団に暮らす人々の生き方を知るうちに、やがて兵士ではなく一個人としての自分の生き方を、自分で考えるようになっていきます。

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