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担当幹部「サードパーティとの相互運用性、オープンネスを堅持していく」

デルのネットワーク事業、好調の理由と次なる戦略を聞く

2013年09月10日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 デルのエンタープライズビジネスが好調だ。2014会計年度第2四半期のデル エンタープライズビジネスは、前年同四半期比で8%の成長を記録した(関連記事)。またデルは今年、コンバージド(統合)インフラ製品を(関連記事)、ネットワークに関してもファブリックソリューション(関連記事)を発表している。

 米デルのDell Networkingでバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャを務めるトム・バーンズ(Tom Burns)氏に、ネットワーク関連製品をめぐる現況と戦略を聞いた。

Dell Networking バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャ、トム・バーンズ氏

――デルのエンタープライズビジネス全体では好調のようですが、ネットワーク事業単体で見た場合の業績はどうですか。

 2014会計年度第2四半期、ネットワーク事業単体の業績では前年同四半期比で19%の成長となった。これでネットワーク事業は10四半期連続の2ケタ成長となる。市場シェアを見ると10/40ギガビットEthernet(GbE)ネットワーク市場ではシスコに次ぐ2位に、10GbE市場では3位に位置づけている。

 こうした力強い成長は、2年前のフォーステン・ネットワークス買収や、それに伴うさまざまな研究開発、投資がもたらした結果だと考えている。たとえば「M1000e」サーバシャーシ内で10/40GbEネットワーキングを可能にする「Force10 MXL」のブレード型スイッチ(関連記事)など、導入がしやすく管理性のすぐれた新しい製品の投入が成長を牽引している。

M1000eシャーシに格納されたブレード型スイッチ、Force10 MXL 10/40GbE(製品発表時の写真)

――デルでは今年、「Active Fabric」というファブリックソリューションを発表しました。統合インフラ製品の「Active Infrastructure」との関係、位置づけについて教えてください。

 Active Fabricの管理ソフトウェア「Active Fabric Manager(AFM)」は、Active Infrastructureを構成するコンポーネントの1つに当たる。まずはActive Infrastructure全体のコンセプトを説明しよう。

 統合インフラを実現するにあたって、その最大の阻害要因は「管理」の領域にある。つまりサーバ、ストレージ、ネットワークという3つの構成要素をまとめて管理することが、最大の障害になっている。

 そこでActive Infrastructureでは、「Active System Manager(ASM)」という管理ソフトウェアを通じてインフラ全体のオーケストレーションを図る。ASMは、デル製のハードウェアに限らず、例えばシスコやジュニパーなど他のベンダーのハードウェアにも対応している。これにより、ヘテロジニアス(異種混在)な環境においてもエンドトゥエンドのオーケストレーションを実現する。

Active Infrastructureの構成。ASMを介してインフラのオーケストレーションを図る(製品発表時の資料)

 一方で、AFMはネットワークインフラのみを管理する。10/40GbE(IPネットワーク)とファイバチャネル(ストレージネットワーク)に対応している。ネットワーク機器をコマンドラインで操作するスキルがなくともGUIで操作可能であり、サーバーの導入や展開と同じように容易にネットワークを管理できるというメリットがある。

――ファブリックソリューションは他社からも発売されていますが、デルのActive Fabricの特徴、強みはどこにあるのでしょうか。

 Active Infrastructureの特徴や強みと共通するが、大きく3つ挙げられる。

 まずサードパーティ製品との相互運用性があること。競合他社の場合、導入に際して一からリプレースする必要が出てくるが、デルではその必要がない。過去に投資したものを生かしながら、インフラの統合に取り組める。

 次に、SAPやオラクルといったアプリケーションパートナーとの協力関係がある。パートナーと協力し、デルのインフラを使ってアプリケーションのパフォーマンスを引き出すための最適な構成、チューニングを顧客に提案できる。

 3つめは、Active Infrastructureが非常に小さなフォームファクターからスタートできることだ。小規模なオフィスや支店の規模から、サーバー数千台規模や複数のストレージ、ネットワークまで、必要に応じて拡張できる。共通のアーキテクチャとテクノロジーを使って、大幅なスケールアップ/ダウンが可能だ。

――1つめに挙げられた「サードパーティとの相互運用性」について。一方で、デルはエンドトゥエンドでハードウェアコンポーネントを持ってもいますよね。

 もちろんそれが競合との差別化要因、優位性になる場合もある。ただし戦略としては、サードパーティとの相互運用性を確保することが重要だと考えている。

 デルでは創業当時からオープンな基盤であることを重要視してきており、何よりも「顧客に選択肢を提供する」ことが大切だ。デルのハードウェアを推奨はしていくものの、実際のところASMやAFMはサードパーティ製品に対応しており、サービス部門でも一部のサードパーティ製品への対応を進めている。

 このようにオープンな技術、環境を重要視することにより、他社の(プロプライエタリな技術をベースとした)製品よりも早く、新しいソリューションの導入も可能になる。

10/40GbE高密度ラックスイッチ「Dell Networking S6000」

――8月末発表の「Dell Networking S6000」という製品について教えてください(※国内では未発表)。

 Dell Networking S6000は、10/40GbE対応のラックスイッチだ。1Uサイズで40GbEが32ポート、または10GbEが96ポートと40GbEが8ポートを実現する高密度な構成で、フォーステンの技術とデルの「Fresh Air」機能の搭載によってベストインクラスの電力管理ができる。

 データセンターの仮想化への対応として、「VMware NSX」に対応したVXLANゲートウェイ機能を備えている。これはNSXの仮想ネットワーク(VXLAN)と物理ネットワークとをブリッジする機能であり、VMwareの管理コンソールから可視化できる。さらにAFMを通じて、管理者が仮想ネットワークにアクセスできるようになる。

Dell Networking S6000は10/40GbE対応の高密度なラックスイッチ

VXLANゲートウェイ機能を備えVMware NSXの仮想ネットワークに対応(画像はVMware資料より)

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