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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第86回

注目株の中国スマホメーカーXiaomiにグーグル幹部が移籍(+ゴシップ)

2013年09月04日 11時00分更新

文● 末岡洋子

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Barra氏の役割は国際展開とサービス強化か?

 そのXiaomiに引き抜かれたGoogleの元幹部である、Hugo Barra氏とはどのような人物か。ブラジル出身のBarra氏がGoogleに入社したのは2008年のこと。直近ではAndroidの製品マネジメント担当バイスプレジデントを務めており、Andy Rubin氏とともに表舞台に出ることも多かった。2012~2013年にNexus端末の発表を行うBarra氏の姿をご記憶の方もいるかもしれない。

今年5月のGoogle I/Oでも、Google Playについて講演していたHugo Barra氏

 Barra氏がXiaomiに移籍する背景には、Xiaomiの共同創業者であるBin Lin氏がGoogle出身であることが無縁ではないだろう。Barra氏のXiaomi移籍を報じたAll Things Digitalなどによると、Lin氏とBarra氏はBarra氏がGoogleに入社した2008年3月から知り合いで、2011年にXiaomiが初めて製品を発表以来、協業を重ねているという。

 Barra氏はGoogle+で10月からXiaomiに入社することを発表しており、製品ポートフォリオとビジネスをグローバルに発展するのを支援したいと述べている。「継続してAndroidのエコシステム加速を支援できるチャンスを光栄に思う」と続けており、MIUIの開発への関与は容易に想像できる。

 もう1つが、サービスだ。Xiaomiは端末よりもサービスにフォーカスする戦略で、4月にAll Things Digital主催のモバイルカンファレンスに登壇したBin Lin氏は、「収益がいずれ減少するデバイスではなく、サービスにフォーカスしている」と語っている。「携帯電話は20年前のPCに過ぎない。最初は大きな収益を生むが、すでに1ケタ成長に入っており、同じことがスマートフォンでも起こるだろう」というのがその理由だ。

 Xiaomiは9月1日、自社アプリストア「MIUI App Store」のアプリダウンロードの回数が390日で10億回に達したことを発表している。

 XiaomiでのBarra氏の肩書きは「Xiaomiグローバル担当バイスプレジデント」となる模様。Xiaomiは中国市場、そして今年参入した台湾と香港から拡大する計画で、まずは東南アジア(2013年内)、そして2014年移行に米国、欧州などに拡大する予想とChina Dailyは予想している。

Rubin氏に次ぎ重要人物を失うAndroidチーム
最後にゴシップをちょっと

 Barra氏の移籍が明らかになる少し前に報じられたのが、Googleの共同創業者Sergey Brin氏の私生活だ。Brin氏は数年来連れ添った起業家のAnne Wojcicki氏と別居しているとのことだが、一部の報道によるとBrin氏の新しい恋人はBarra氏の元パートナーだとか。

こちらはそのBrin氏の元妻Anne Wojcicki氏が経営するバイオ系ベンチャーの「23andMe」。格安の遺伝子検査サービスでこちらも話題の企業だ

 このような私生活での出来事が、Barra氏が転職に踏み切った原因かどうかは本人たちのみぞ知るところだが、BBCによると情報筋はこれを否定しているという。それにしても女優や男優ではなくてもGoogleクラスのハイテク企業ともなると、(このような話題が取り上げられるほどに)幹部も充分にセレブなのだと実感してしまった。

 話を戻そう。Barra氏の退職が、GoogleにおけるAndroidの役割にどのような影響を与えるのかは気になるところだ。周知の通り、Androidの父であるAngy Rubin氏がAndroidから距離を置くようになって数ヵ月、AndroidとChromeを統括するSundar Pichai氏のこれまでからはChrome重視を感じるが、Androidチームはどうなるのか。

 スマートフォン市場としては、中国は米国を超えて最大となった。Xiaomiに限らず、中国発のニュースが今後増えてくるとしてもおかしくない。Xiaomiは9月5日に最新の端末を発表する予定だ。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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