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なれる!SE 間違いだらけの?IT用語辞典(中二版) 第28回

男のロマンは得てして合理的じゃないけど正義! なIT用語

2013年09月05日 18時00分更新

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回答編


フォールバックブリッジングはシスコ(*1)機器の一機能ね。異なるVLAN間で非IPパケットを転送する技術。


非IPパケット……転送?


業務用のL2スイッチはVLAN(仮想LAN)を設定することで論理的に複数のスイッチとして使用できる。ただIP的には分断されてしまう(異なるセグメントになる)ので二つのVLAN間を通信させようと思ったら別途ルータなどを挟む必要が出てくる。ここまではいいわね。


はい。一台の物理筐体に総務部VLANとか営業部VLANとか、複数のスイッチが同居しているイメージですよね。でお互いのIP通信は上位のL3装置でやりとりする。


そうそう。で、ここでIP以外の通信が必要になったらどうする?


はい? IP以外の通信なんてあるんですか?


あるわよ。OSI基本参照モデル(*2)を思い出してみなさい。各レイヤは独立して異なる技術で代替可って話したでしょ? 当然L3(第三層)--ネットワーク層もIP以外のプロトコルが存在してる。


たとえば。


米ノベル社のIPX、アップル社のAppleTalk。どっちもIPルータじゃ制御できない通信。ならどうする? AppleTalk専用のルータを置く? もしくはIPXルータとか。


そんなの見たことないですが……。


そうね。だからもうルーティングとか止めてIP以外のパケットはEthernetで転送してしまう。つまり異なるスイッチ間を非IPパケットの専用ラインでバイパスするイメージよ。


んん……? なんかいまいち利用シーンがピンとこないんですが。IPで通信できないなら最初からVLANとか設定せず、普通のスイッチとして運用すればいいんじゃないですか? そうすれば直接Ethernetでやりとりできるでしょう。


要は古いシステムの救済措置なのよ。組織のインフラはとっくにTCP/IPに切り替わっているけど、一部端末間でIPX通信が発生する。昔はIPXルータを買っていたけどもうメーカーサポートも終了。このままじゃサービスがストップする! という時の最終手段。


ははぁ……非常措置ってわけですね。通常は通っちゃいけない通路を避難用に解放するみたいな感じ。


近いわね。まぁいずれにしろ歪な構成だから、早めに古いシステムをリプレースした方がいいわね。正直フォールバックブリッジングなんて喜んで使う技術じゃないし。


名前は格好いいんですけどねぇ。


何事もシンプルが一番。余計な技術は使わず、構成・機構を単純化するべきよ。機械もシステムも人も同じよね。


ええ、ええ。機械もシステムも人も……って、人?


部品点数を減らすことで機械は可用性を向上できる。なら人間も無駄を省けばより強靱になれると思わない? さしあたり(ピー)とか(ピー)とか(ピー)とかいらない気がするんだけど。


(ピー)!? (ピー)はいるでしょう。(ピー)とかもなくなっちゃ困りますよ!


まぁまぁ物は試しよ。人類の新しい領域を追及してみましょう。えーと……パイプソー(配管用のこぎり)とモールカッター(大型カッター)を準備してと。さ、手術、手術。


!? いやいやいや、死にます。普通に死にますから勘弁してください。てか目がマジだし! 刃物打ち鳴らしながら近づいてくるし! 怖い、怖い怖い!

(キャァアアアアとホラー映画めいた悲鳴。沈黙)


(*1) シスコシステムズ。世界最大のネットワーク装置メーカー
(*2) 第7回参照


【解説】

フォールバックブリッジング
シスコ機器の一機能。異なるVLAN間で非IPパケットを転送する技術。IPXやAppleTalkなど非IPの古い通信を転送するために使用される。同様の救済手段にL2トンネリングなどがある。

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