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ハイパースケールデータセンターを実現する次世代のサーバー&ストレージ ― 第3回

質実剛健なローエンドストレージが商用クラウドを支える

性能と安定性でさくらが選んだNECの「iStorage M300」

2013年09月10日 08時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●秋山泰彦

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どんなリクエストにも音を上げないサポート力

 iStorage M300は、高性能・高信頼と使いやすさを両立したNECのローエンドストレージ。インターフェイスとしてFC(8Gbps)やiSCSI(1/10Gbps)、SAS(6Gbps)などを搭載するほか、SANとNASを統合し、ユニファイドストレージとして活用できる“NASオプション”も用意されている。また、容量が不足したら、HDDを追加するだけで仮想プールの容量を増加し、最配置まで行なうアドバンストダイナミックプールを提供。低消費電力プロセッサや80 PLUS GOLDの高効率電源の採用、40℃動作やHVDCへの対応など、データセンターで必須となる省電力化に関しても注力している。

高性能・高信頼と使いやすさを両立した「iStorage M300」

 今回、さくらインターネットがストレージに対して行なった検証は、とにかくI/Oの限界までチャレンジするというローエンドモデルにはやや酷な内容だった。「カタログスペック通りにならないのは、ストレージも同じ。ですから、iSCSIのセッションを性能限界以上に張って、100%を超えるI/O負荷でテストしました。あわせて、複数のセッションを頻繁にログイン/ログアウトしI/Oの落ち込みが発生しないか、コントローラーやディスク、SASケーブルを突然抜去した時の挙動、フォーマット処理やリビルド時、スナップショット取得時の性能劣化度合いなどの確認も行ないました」(大久保氏)とのことで、検証条件に妥協は一切なかった。

 実際、こうしたタフな負荷により、両ベンダーの製品とも性能限界に近づくと不安定な挙動を示すこともあった。それにも関わらず、同社がiStorage M300を採用したのは、ベンダーのレスポンスが非常によかったからだ。大久保氏は、「問題が出た段階で、柔軟に対応してくれるんです。どんなリクエストに対しても、絶対に音を上げませんでした。安心感が全然違います」と舌を巻く。これに対し、競合ベンダーは不具合の改修が可能かの問い合わせにそもそも2ヶ月かかったとのこと。その点では、すでに勝負は明らかだった。

 検証を繰り返し、NECのサポートもあって、安定性はますます向上。商用環境で問題なく安定稼働している。大久保氏は、「ログを収集することで、問題の原因がほぼわかるんです。こうしたことは、製品を自社開発し、ソースコード自体を保有していないと難しいですよね」とNECを高く評価する。

 iStorage M300の選定では、性能面やNECのレスポンスの速さ、安定性に加え、機能面では論理ボリューム管理を柔軟に行なえるアドバンスダイナミックプールやシンプロビジョニングの機能も大きかった。大久保氏は、「競合ベンダーのストレージでは、論理ボリュームがサポートされていませんでした。ユーザーにボリュームを切り出すのに、わざわざ物理ブロックの管理まではできないので、論理ボリューム管理の機能は必須でした。iStorage M300は論理ボリュームが増えても、パフォーマンスが落ちませんでした」と語る。

 また、ローエンドストレージであるiStorage M100をバックアップストレージとしたレプケーションやスナップショットを利用。「重複排除やコピーオンライトの処理など、メタデータの更新等で、I/O負荷が膨らむストレージ固有の機能はIaaSにはあまり使えません」(大久保氏)とのこと。クラウドにおけるストレージは、機能面をそぎ落としても、性能と安定性を優先すべきというのが、お二方の共通の意見だ。

安定した性能と品質でサービスレベルを担保

 3ヶ月におよぶ検証作業の結果、さくらインターネットは2012年8月末にiStorage M300の導入を決定し、10数台を石狩データセンターにあるさくらのクラウドの本番環境に配備した。ストレージとスイッチ間はボトルネックにならない広帯域を確保。また、サーバーとコントローラーは冗長化されたマルチパスとなっており、高い耐障害性を実現している。

石狩データセンターに設置されている「iStorage M300」

 鷲北氏は、「加入者数もこれまでのところ順調に推移しています。サービスレベルも、きちんと担保できるようになりました」と述べる。厳しい検証を経てサービス自体に性能と安定性をもたらしたiStorageの導入効果はきわめて大きかったようだ。

(提供:NEC)

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