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Ubuntuスマホ、資金調達に失敗 だが未来は明るい?

2013年08月24日 09時00分更新

文● 末岡洋子

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 Canonicalが3200万ドルという調達目標を掲げて7月に開始したクラウド調達キャンペーン「Ubuntu Edge」が終了した。調達額は1280万ドル。目標額の4割到達という結果に終わったが、創業者は2014年予定のUbuntuのスマホ進出に向けて自信をのぞかせている。

外観は未来的だった、Ubuntu Edge。この端末自体は幻に終わった

 スマートフォンに進出するにあたり、Ubuntuのモバイル対応やキャリア団体グループであるCAGの立ち上げと並行し、Canonicalが開始したのがUbuntu Edgeだ。同社が設計するスマートフォンで、4.5型ディスプレー、最低でも4GBというRAM、128GBのストレージなどの特徴を持つ。Androidとのデュアルブートが可能で、モニターにHDMI端子で接続するとUbuntu PCとして動作するというデスクトップとモバイルとの融合の要素も備えたハイスペック端末だ。

 Canonicalは7月22日、クラウド調達サイトのIndiegogoでUbuntu Edgeの調達キャンペーンを開始した。目標額は3200万ドル。ハイテク分野でのクラウド調達成功例とされるスマートウォッチ「Pebble」の調達額である1000万ドル強から、一気に3倍以上のハードルを自らに課した。この理由について、「競争力ある価格で提供するには充分な量が必要だが、まだ大量生産されていないコンポーネントを使うため」と説明していた。

 初日限定の600ドル枠の応募が上限の5000人に達するなど、出足は好調だったが、1週間も過ぎると出資数は鈍化した。Canonicalは価格体系を変更し、最終的には695ドルで固定した。だが結局、調達額が1280万9906ドルに達したところで時間切れとなった(1280万9906ドルはCanonicalの発表した数字、Indiegogoのページでは約1281万ドルとなっている)。

当初の勢いはよかったが、結局予定には達せず

とはいえ、1000万ドル以上の出資が集まったのも確かだ

 Canonicalによると出資者は合計2万人近く。最も参加者が多かったのは米国で、次いで本拠地のイギリス。以下、ドイツ、カナダ、オーストラリアなど欧米が中心だったという。個人ユーザーのほか、企業ではあのBloombergが115台の購入権をバンドルした8万ドルの枠に出資、10台の7000ドル枠にも3社が出資した。目標額には到達しなかったが、Pebbleの記録を上回っており、「固定されたクラウド調達キャンペーンとしては過去最大の調達額」という。

 Ubuntuの創業者であるMark Shuttleworth氏は当初から目標額に達しない場合は、商用版の進展にフォーカスするとしていた。プロジェクト終了にあたって掲載したメッセージでShuttleworth氏は「最大の勝利者はUbuntu」とし、UbuntuスマートフォンのショーケースとしてのUbuntu Edgeの実現はかなわなかったものの、2014年のUbuntuフォンの登場に向けて大きな加速になったと記している。さらにキャンペーンで注目を集めたことが主要なメーカーとの話し合いにも影響を与えたとも示唆する。このようなことから、目標達成額には到達しなかったものの、Ubuntuフォンとしては成功だったとの主張をしている。

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