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新社長が語るこれからのチェック・ポイントの鍵はSMBとMSS

日本でのチェック・ポイントはファイアウォールベンダー止まり?

2013年08月22日 06時00分更新

文● 谷崎朋子

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8月21日、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズは本富顕弘氏が8月1日付けで代表取締役社長に就任したことを受けて、記者会見を行なった。会見では日本市場における事業戦略が語られた。

次世代ファイアウォールやトータルソリューションを
評価されていない?

 「正式な就任前にイスラエル本社と描いた明るい未来と、日本の顧客やパートナー企業との話し合いで見えてきた生々しい現状に対して、日本法人のチェック・ポイントがどうチャレンジしていくべきかを考えてみた」。会見の冒頭で、同社の代表取締役社長 本富顕弘氏はそう述べた。

チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ 代表取締役社長 本富顕弘氏

 チェック・ポイントの強みは20年にわたるセキュリティ業界での実績であり、次世代ファイアウォール含む複数の領域で高く評価され、世界では10万社超、日本では数千社のユーザーがいると本富氏は言う。一方で、日本でのチェック・ポイントのイメージはファイアウォール製品ベンダーで止まっているという。

 そこで、製品戦略ではSoftware Bladeを中心に次世代ファイアウォール(NGFW)の主プレイヤーであることを強く訴え、アプライアンスからサービスまで総合的なセキュリティソリューションを提供できる点を訴求したいと強調した。具体的には、未知の攻撃を未然に防ぐサンドボックス型対策「Threat Emulation Software Blade」、Software Bladeの情報を可視化、分析する「Smart Event」をプッシュしていく。

 もう1つの注力ポイントは、中堅・中小企業(SMB)へのリーチ拡大だ。これまでチェック・ポイントはエンタープライズ向け製品を中心に展開してきた。しかし、日本企業の9割以上はSMBであり、しかも昨今はサイバー犯罪者にとって魅力的な“餌”となっている。「情報価値も保護レベルも高いエンタープライズ企業を狙うよりも、そこそこの情報価値を持っていて保護レベルも若干低いSMBは最高の攻撃対象だ。しかも、エンタープライズ企業への踏み台にもなりうる」(本富氏)。

SMB市場進出に向けた2つのアプローチとは?

 そこで、同社はSMB市場に進出する上で2つのアプローチをとる。1つは、「Check Point 1100アプライアンス」シリーズ代表とするSMB向けアプライアンスの販売促進。もう1つは、マネージドセキュリティサービス(MSS)の展開だ。

 特に、MSSでは「ThreatCloud Security Services」を新たに市場展開する。同サービスは、1日数千件のイベントを1週あたり数件レベルの実用的なアラートへと落とし込むことで、SMBでも十分なセキュリティ対策が実現できるマネージドサービスだ。このサービスをパートナーと展開するのだが、その際にチェックポイント印で出すか、またはパートナーのMSSとして出すかはパートナーに任せる方針と本富氏は言う。「すでに何社か国内サービスプロバイダーと話が進んでいる。希望的には来年1月または2014年度から提供開始されると見込んでいる」(本富氏)。

パートナーとのMSSビジネス

 また、現在のセキュリティ状況をレポートで可視化できる無償プログラムの「3D Security Report」についても、パートナーから提供できるよう準備を整えた。さらには、同社の暗号化ソリューションやエンドポイントソリューションなどの製品連携やOEM、バンドルなども積極的に取り組んでいく。

 一方で、チェック・ポイントとしてのハイタッチ・ビジネスにも平行して注力すると本富氏は言う。「弊社は100%チャネルビジネスだが、ハイタッチすることでユーザー企業や中小企業を顧客に持つMSSプロバイダーと直接対話して新たなビジネスを創出することが、これからのチェック・ポイントのミッションだと考える」。

 ビジネスの新規創出こそ、今のチェック・ポイントに最も必要なことと述べる本富氏は、コミュニケーションをより深めながら新しい価値創造にチャレンジしていくという。

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