このページの本文へ

ハードウェア強化で大幅に高速化したインメモリBI専用マシン。戦略は?

搭載メモリ倍増!オラクルが「Exalytics X3-4」提供開始

2013年08月21日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 日本オラクルは8月20日、インメモリ型高速分析専用アプライアンスの最新版「Oracle Exalytics In-Memory Machine X3-4」の提供を開始した。メモリ容量が旧モデル比で2倍になり、新たにフラッシュストレージも搭載されたほか、搭載するソフトウェア群も強化されている。

Oracle Exalytics In-Memory Machineの筐体

フラッシュストレージ追加でIOPSが250倍に向上

 新製品ではハードウェア、ソフトウェアの両面で強化がなされている。

 まずハードウェアの強化では、旧モデル(Exalytics X2-4)の2倍となる2TBのメモリを搭載したほか、新たに2.4TBのフラッシュストレージを追加し、多次元データベース「Oracle Essbase」へのデータロードや計算速度が大幅に向上している。また搭載HDD容量も、旧モデルの3.6TBから5.4TBへと拡大した。

 オラクルによれば、今回のフラッシュストレージ搭載によって、最大書き込み処理能力は旧モデル比で5.9倍に、また1秒間の書き込み/読み込み回数(IOPS)は250倍の10万回以上に向上しているという。なおこうしたハードウェアの強化に伴って、X3-4の価格は旧モデル比で約3割高い17万5000ドルとなっている。

ハードウェアの強化により、書き込み処理性能は旧モデル比で5.9倍に、IOPSは250倍に向上した

 またExalytics X3-4の搭載ソフトウェア群のうち、BIソフトウェアスイート「Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Edition(Oracle BI EE)」とEssbase、インメモリデータベース「Oracle Times Ten」において機能が拡充されている。このうちOracle BI EEでは、分析やレポートの操作が「Microsoft Office」からできる「Smart View」機能が登場している。またモバイルデバイスへのBIコンテンツのキャッシュを、サーバー側から制御する機能が追加された。

Oracle BI EEの「Smart View」機能によりOfficeからの各種操作が可能になった

 なお旧モデルを導入済みの顧客向けに、X3-4へのアップグレードキットが販売される。このキットには、ハードウェア増強のためのフラッシュメモリとメモリが含まれる。

 同日の発表会に出席した日本オラクル 専務執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏によると、Exalyticsは2012年3月の国内市場投入以後、順調に導入が進んでおり、販売は「『Exadata』よりも速いペースで立ち上がっている」という。そのうえで、新モデルのX3-4では「ハードウェアの増強」「モバイル機能の強化」「ビジュアル化や操作性、統合性の強化」という3つの強化点があると説明した。

オラクルBI戦略の「3つのコンセプト」

 三澤氏は、Exalyticsを含むオラクルのBI/ビジネスアナリティクス製品全体の取り組みについても説明した。

日本オラクル 専務執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏

 オラクルでは、「Big Data Appliance」とExadata、Exalogicというエンジニアドシステムの製品ラインアップにより、トータルな高速情報集計/情報活用基盤を実現している。ここでオラクルが掲げるのは、「モバイル」「ユーザー志向」「インテグレーション」という3つのコンセプトだ。

Big Data Appliance、Exadata、Exalogicというエンジニアドシステム3製品により、情報集計/活用基盤をトータルにカバーしている点がオラクルの強みだと三澤氏は語った

BI/ビジネスアナリティクスに対するオラクルの3つのコンセプト

 3つのコンセプトについて三澤氏は、スマートデバイスの普及によって従来とは比較にならない数のモバイルユーザーがBIを利用するようになること、容易な操作で誰もが高度な情報分析を行う必要性があること、統一された製品群で情報基盤を構築すれば大きなメリットがあることを指摘する。

 「モバイル」については、BIコンテンツを1つ開発すればPCとモバイルデバイス(iOS、Android)の両方で利用できる「BI Mobile App Designer」、サーバー側で一括して管理できるアクセス権限やデバイス側キャッシュ、サードパーティのセキュリティソリューションとの連携などの機能が用意されている。さらに、大容量のデータ、大量のモバイルユーザーに対してこそ、Exalyticsの高速な処理性能が生かされると、三澤氏は強調した。

 また「ユーザー志向」については、Oracle BI EEの豊富なグラフ化機能、「競合他社にはない」(三澤氏)3ステップで作成できる地図上へのマッピング機能を、「インテグレーション」についてはExalytics上にBIスイートやインメモリDB、経営計画、多次元分析、非構造化データも含む情報探索といったアプリケーションを搭載可能であることをアピールした。

 「Big Data Appliance、Exadata、Exalogicと、三位一体のトータルなビジネスアナリティクス環境が提供できる。トータルな製品を提供できる、おそらく唯一の企業がオラクルではないか」(三澤氏)

■関連サイト

カテゴリートップへ