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業界人の《ことば》から 第53回

保守的な数字を掲げた中期目標の試金石

東芝のデジタル部門は下期黒字化、これは必ず達成する数字だ

2013年08月20日 08時00分更新

文● 大河原克行

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今回のことば

「保守的な数字といわれるが、これは必ず達成するという意思のもとに出した数字」(東芝・田中久雄社長)

 2013年6月に東芝の社長に就任した田中久雄氏が、8月7日、2013年度経営方針を発表。そのなかで、2015年度に売上高7兆円、営業利益4,000億円、営業利益率で5.7%を目指す中期目標を発表した。

 1年前に、佐々木則夫前社長(現副会長)が発表した中期目標では、2014年度に売上高で7兆8000億円、営業利益では4500億円を目指すとしていたが、今回発表した計画では、1年後倒しにしても、その数値を下回るものとなった。

 これに対して、田中社長は、「確かに保守的な数字という指摘もある。だが、必ず達成するという意思のもとに出した数字」とコメント。計画必達を最優先した数値目標としたことを明かす。

 確かに電機各社が打ち出す中期経営計画は、相次いで未達成のままだ。

 たとえばパナソニックは、2012年度を最終年度とする中期経営計画「GT12(Green Transformation 2012)」で、売上高10兆円、営業利益率5%以上という計画を打ち出していたが、2012年度実績は売上高が7兆3030億円、営業利益が1609億円。そして、2年連続で7000億円を超える最終赤字を計上した。

 6月に開かれたパナソニックの株主総会では、元社員という株主から、「かつてのパナソニックは、社内計画は必達目標であった。しかし、過去2年の業績や過去2代の社長時代に中期経営計画が未達であったことについて、どう思うのか」と、経営陣に対して厳しい質問が飛んだほどだ。

 東芝も同様に中期計画の未達の繰り返しだ。田中社長には、中期計画の目標未達という悪い流れを断ち切る使命を担うことになる。

保守的ではあるが、成長戦略を掲げる東芝

 だが、東芝が打ち出した計画は、「保守的」と言われようが成長戦略であることには間違いない。

 2015年度までの売上高の年平均成長率は7.1%。「世界のGDP成長の5.2%を上回る計画」(田中社長)であるからだ。

 その原動力として、BtoB比率を現在の80%から90%へと拡大。海外比率は55%から65%に高める姿勢をみせる。

 「市場の伸長に過度に依存せず、東芝ならでは事業領域の集合体をもとに、自ら成長エンジンを作り出す。そのためには、市場とお客様の声に耳を傾け、ニーズをしっかりと理解し、東芝の資産や技術を活用して課題を解決し、いかに価値を創造するかが重要」というのが中期目標に対する基本的姿勢。そして、「東芝グループの新たな経営方針は、『創造的成長の実現』になる」とした。

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