20周年を迎えるエプソンダイレクトに潜入!
エプソンダイレクトが、まもなく創業20周年を迎えようとしている。1993年11月1日の設立当時、国内ではNECのPC-98シリーズが圧倒的なシェアを誇っていたものの、海外からはPC/AT互換機という黒船が押し寄せていた。そんな時代に、メーカーによるパソコンの直販、さらにはBTOというビジネスモデルを確立させた同社は、長きにわたって日本におけるPC/AT互換機の普及とパソコン市場の発展に貢献してきたパイオニアである。
この20年間で世界の経済は激変した。ビジネス界の栄枯盛衰は著しく、いまや多くの日本企業が国内外で苦戦を強いられている。厳しい環境のさなかで、高い品質と信頼を誇るBTOメーカーという評価を不動のものとし、多くの顧客から高い支持を得ている同社。その秘訣を探るべく、月刊アスキー元編集長で、現在は角川アスキー総合研究所の遠藤諭取締役が、長野県松本市にあるエプソンダイレクトへ伺ってみた。
角川アスキー総合研究所遠藤諭取締役(以下遠藤) 御社が設立された1993年といえば、DOS/Vが認知されはじめた時代ですよね。そのころはPC-98が全盛期で、DOS/Vはまだマニアだけのもので、そもそも国内では直販という業態自体があまりなかった。そんな状況で、なぜDOS/Vの直販をやることになったんですか?
エプソンダイレクト河合保治氏(以下河合氏) 2つ理由があります。もともと、当社は海外でPC/AT互換機を売る事業もやっていたんです。日本でDOS/Vがはじまろうとしていたこともあり、事業を国内にシフトしたのですね。もうひとつは、これは初代の社長に聞いた話なんですけど「日本国内でお客様に直接売れるチャンネルがないから作りたいね」という話が社内にあったらしい。当時はB to Cがまったくない会社だったので“ないところを切り開いていきたい”というトップの意向があったようです。
遠藤 すでにアメリカではデルさんなどがガンガンやっていたわけなんで、日本で俺たちもやってしまおうと?
河合氏 そうですね。直販というビジネスモデルのイメージはすでにあって、何を売るかが問題だったんです。選択肢としては、プリンターや98互換機もあったんですが、それは既存のチャンネルがあるので、当時の状況でそこを飛び越えていきなり直販したらいろいろなところから怒られてしまう(笑)。そこで、DOS/Vがあるじゃないかと。開発ができる技術者はいたので、海外から戻ってきたメンバーを集めて日本で会社を起こすことになりました。