Windows 8への反省、PC不振の失敗をリベンジできるか
だが、そうした状況であるにも関わらず、日本マイクロソフトの樋口泰行社長は、「個人的な想いであるが」と前置きしながらも、「Windows 8.1の発売記念イベントは、100%やりたいと思っている」と発言する。
「形はどうなるかわからない、だがどんなものであっても、少しでも業界を盛り上げることにつながるのであれば、やる価値はあるのではないか」と続ける。
アップデート版での発売イベントはこれまでに例がないだけに、どのぐらいの規模で、どんな切り口で行うのかは、まさに未知数だ。
振り返ってみれば、2012年10月のWindows 8の発売に際して、マイクロソフトはマーケティング面において、大きな反省があった。
発売直前まで情報を抑え、発売日にサプライズ感を高めるという施策に取り組んだものの、その裏返しとして、タッチ機能をはじめとする新機能のメリットや、タブレットや2in1という新たにフォームファクターについての訴求が遅れ、結果として、PC市場の停滞感を払拭できなかった。
業界関係者の間からは、「新たなOSが登場した年に、コンシューマPCが2桁のマイナス成長になったのは初めてのこと」と、Windows 8の不発ぶりを指摘する声もあがっていた。
そうした意味でも、Windows 8.1の登場によって、Windows 8での「失敗」をリベンジするチャンスが早くも巡ってきたといえる。
スタートボタンをはじめとして、Windows 8の課題を解決した新たなOSだけに、改めて訴求できるポイントも少なくない。
樋口社長の言葉を裏付けるように、日本マイクロソフト関係者によると、「まだ決定している内容はなにもない」としながらも、Windows 8.1のリリースにあわせて、なにかしらのイベントを検討している事実は明らかにした。
果たして、日本マイクロソフトは、Windows 8.1によって、PC市場およびWindows陣営をどんな風に盛り上げるのか。
昨年のWindows 8以上の盛り上げを期待したいところだ。
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