注目は「Operating Systems Engineering Group」
注目しておきたいのは、やはりWindowsの開発を統合する「Operating Systems Engineering Group」であろう。
先にも触れたように、これまでバラバラだったWindowsとWindows Phoneの開発を統合。さらに、Windows ServerやエンベデッドOSまでを含めたすべてのOSをこの組織が開発することになる。まさに、One Microsoftの象徴的な存在だ。
ここを統括するのは、Windows Phone事業のコーポレートバイスプレジデントだったテリー・マイヤーソン(Terry Myerson)氏。それ以前には様々な役職を担当していたが、Windows Phone出身者をここのリーダーに配置するあたりにマイクロソフトの意気込みが感じられる。
Machカーネル、MSR担当シニアバイスプレジデントで有名な
リック・ラシッド氏が現場復帰
もうひとつ特筆しておきたいのが、リック・ラシッド(Rick Rashid)氏がこの組織へと異動している点だ。
ラシッド氏は、マイクロソフトの基礎研究部門であるマイクロソフトリサーチを率いてきた人物。いや、マイクロソフトリサーチを設置するきっかけを作った人物だといっていい。マイクロソフト入社前は、カーネギーメロン大学で研究開発に携わり、UNIX系OS/カーネルとして有名なMach(マーク)の開発に携わるなど、長年に渡るOS開発に経験を持つ技術者だ。
新組織では、コアOSの開発をリードする立場としており、マイヤーソン氏を支援する役割も担うことにもなろう。
現場に復帰したラシッド氏が、マイクロソフトの次世代OSの開発において、どんな影響を及ぼすのかも注目しておきたいところだ。
日本マイクロソフトにはどう影響するのか?
ところで、今回の組織再編は、ケビン・ターナーCOOが率いるセールスおよび、各国ごとのマーケティング体制においては、大きな変更がない。
つまり、日本での営業、マーケティング活動を行なう日本マイクロソフトの体制には、あまり影響がないといえよう。そのため、日本マイクロソフトが、近いうちに大規模な組織再編を行なうといったことは考えにくい。
ただ、マイクロソフト ディベロップメントは、今後、どういった形になるのかは注目しておきたいところだ。日本発のソフトウェア開発や、日本市場向けの機能開発および実装などで重要な役割を果たしている同社のWindowsやOfficeなどの各製品開発部門が、今回の組織変更でどんな影響を受けるのか、One Microsoft戦略の中でどう位置づけられるのかが気になる。
一方で、大きな組織再編がないと見込まれる日本マイクロソフトとはいえ、One Microsoftに向けての意識改革は急速な勢いで進むものとみられる。7月17日から米国で開催された同社社員総会でも、One Microsoftに向けての意思統一が行なわれ、今後は、デバイス&サービスカンパニーを目指す中で、様々な製品、サービスを連携した営業、マーケティング活動が展開されることになるだろう。
日本マイクロソフトが仕掛ける施策がどう変化するのかにも注目しておきたい。
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