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マイクロソフト・トゥディ 第56回

“Mach”カーネルのラシッド氏、Windows OS開発の現場へ

2013年08月01日 14時00分更新

文● 大河原克行

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米マイクロソフトが始まって以来の大規模な組織再編

 米マイクロソフトが2013年7月11日(米国時間)に発表した組織再編は、同社始まって以来の大規模なものになった。

 従来はWindowsやOffice、Xboxなどの製品ごとの開発体制とし、それぞれに独立採算制組織としていたものを、OS、デバイス、アプリケーション、クラウドといった4つのエンジニアリンググループに再編。それぞれのエンジニアリングチームが一気通貫で開発を行なうことになる。

 たとえば、これまでのWindowsの開発体制では、Windows 8とWindows Phone 8を別の組織で開発していたが、今回の組織再編によって、この体制が一本化される。

 タブレットおよびスマートマフォンで出遅れたマイクロソフトが、その巻き返しに向けてWindowsの開発リソースを一本化。より連動性の高いOSとしての開発を加速することになる。

 また、アプリケーションのエンジリアリングチームでは、Office製品とSkype、Bingがひとつの組織で開発されることから、これら製品の相互連携も加速されるだろう。

 独立採算制からの脱皮は、財務戦略やマーケティング戦略などにも影響を及ぼす。

 これまでは各製品ごとにCFOやCMOの肩書きを持った役職者が存在し、縦割りでの戦略となっていた。だが、これが横串を通した形の体制へと完全移行することで、戦略的な投資が必要な領域に対してリソースを集中するといったことも可能になる。

 また、マイクロソフトには、サーバー製品からクラウドサービス、検索サービスやOfficeに代表されるソフトウェア製品、コンシューマ向け製品や自社ブランドのデバイス、ゲーム事業であるXboxなどがあり、事業の幅が広い。これらの製品やサービスを有機的に連携させるには、横串型の組織が必要。これまでにもCCG(コンシューマー・チャネル・グループ)として、コンシューマ向け製品に限定した横断型マーケティング組織はあったが、この体制を全社規模に展開した格好にも受けとれる。

「One Microsoft」として事業を推進

 大規模な再編によってスタートした新たな組織によって目指すのは、スティーブ・バルマーCEOが語る「One Microsoft」である。社員向けメールの中で、バルマーCEOは、これまでの部門ごとの事業推進体制から、One Microsoftとして事業を推進することを標榜。全社統一戦略の姿勢を打ち出した(関連リンク)。

 モバイル、クラウド、ソーシャル、ビッグデータが注目を集める中で、それぞれの製品やサービスの連携はもはや不可欠。時代の流れにあわせた体制に、マイクロソフトが追いつき始めたといっていい。

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