高信頼性や「PowerVM」仮想化技術などx86に対する優位性を強調
IBM、Linux専用サーバー「PowerLinux」最上位モデル発表
2013年08月01日 06時00分更新
日本IBMは7月31日、「Power7+」プロセッサを搭載したLinux専用サーバーファミリーの最上位モデルとなる「PowerLinux 7R4」を発表した。
PowerLinux 7R4は、5UラックサイズでPower7+プロセッサ(3.5GHzまたは4GHz)を最大4個(32コア)、1TBのメモリを搭載できるサーバー。対応OSは、Red Hat Enterprise Linux for POWER 6.4以降、SUSE Linux Enterprise Server 11 SP2以降。価格(税別)は408万2300円からで、8月23日より出荷を開始する。
ハードウェア/ファームウェアベースの独自仮想化(LPAR)技術である「PowerVM for PowerLinux」により、CPUリソースは20分の1コア単位(0.05コア単位)で仮想サーバーに割り当て可能。これにより最大640台の仮想サーバーを統合できるほか、ワークロードに応じて100分の1コア単位(0.01コア単位)で自動制御することもでき、柔軟かつ効率的なリソース配分が実現する。
さらにPowerLinux 7R4では、I/O仮想化サーバー「Virtual I/O Server(VIOS)」を冗長化。これにより外部ストレージとの接続が単一障害点(SPOF)になることを防いでいる。
機能拡張オプションとして、PowerLinux 7R4では拡張ドロワーを用意している。「EXP30 Ultra SSD I/Oドロワー」は1Uサイズ/最大11.6TBのフラッシュストレージで、サーバーとの高速バス(GX++)接続により48万IOPSを実現する。また「SAS SFFベイ」を追加すればPCIeスロットを最大46基まで拡張できる。なお、PowerLinux 7R4ではPCIアダプタのホットスワップに対応している。
x86 Linux環境と比較して優位性を強調
製品発表会で日本IBM システム製品事業 パワーシステム事業部長の皆木宏介氏は、企業にLinuxサーバーが浸透するにつれて、その用途もよりミッションクリティカルなものへ進化していると説明。特に“ビッグデータ時代”においては、サーバーに高い信頼性とコスト効率の両立が求められていると述べ、高度な仮想化技術や高い信頼性など、x86アーキテクチャのLinuxサーバーと比較した場合のPowerLinuxの優位性を強調した。
また同社Systems & Technology Evangelist(Linux/OSS)の新井真一郎氏は、PowerLinuxによる仮想化/サーバー統合事例を紹介した(関連記事)。PowerVMとは異なり、現在普及しているx86/ソフトウェアベースの仮想化技術は1コア未満(0.1コアなど)の単位での細かなリソース配分を行うとオーバーヘッドが大きいと新井氏は指摘する。ある企業では仮想サーバーに1.2コア単位でリソース配分を行っていたが、36コアのx86サーバーから16コアのPowerLinuxに乗り換えた結果、パフォーマンスが10倍に向上したと紹介した。
なお新井氏によると、PowerLinuxは2014年にはLinuxの仮想化技術「KVM」にも対応する予定。これにより、サーバーの用途に応じて2つの仮想化技術を選択できるようになる。
IBMではソフトウェア製品群のPowerLinux対応を進めており、現在は137の同社ミドルウェア製品が対応している。さらに今回、新たな対応データベース(DB)として、商用オープンソース製品であるエンタープライズDBの「Postgres Plus Advanced Server」が追加された。エンタープライズDBでは同製品を、x86 Linux版と同じサブスクリプション価格(年間75万円/1CPU)で提供する。またISVや顧客が開発したアプリケーションの動作検証施設を、レッドハットの東京オフィス内に開設している。
なお発表会では、エンタープライズUNIXサーバー「Power 770/780/790」において、今後、Linux専用エンジンを開発していくという開発意向も表明された。