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買収したOpSourceの採用で使い勝手も抜群

ASP時代からの実績が売り!ディメンションデータの「MCP」

2013年07月18日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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NTTグループのグローバルSIerであるディメンションデータは、Managed Cloud Platformと呼ぶクラウドサービスを日本でも本格化させる。同社のサービスについてクラウドのコンサルティングを幅広く手がける入江宏志氏に聞いた。

クラウドの上位レイヤーが大きな売り

 ディメンションデータは南アフリカの大手SIerで、世界51カ国においてソリューションとサービスを展開。2010年にNTTグループが同社を買収している。もともとはネットワークインテグレーションを得意としており、現在ではシステム構築やコンサルティングまで幅広く手がけている。また、世界7カ所のデータセンターを展開。「北米やアムステルダムのほか、シドニーや南アフリカなどティア3以上のデータセンターが南半球にもあるという点です」(ディメンションデータ 入江宏志氏)とのことだ。

ディメンションデータジャパン ソリューション&プロフェッショナルサービス本部 プロフェッショナルサービス部 エンタープライズアーキテクトコンサルタント 入江宏志氏

 先頃、日本での本格的な展開を発表したのが、クラウドサービスの「Managed Cloud Platform(MCP)」だ。MCPは、いわゆるコンピューターリソースを従量課金制で提供するいわゆるIaaSになる。マルチテナントで各地域ごとに提供されているパブリックMCPのほか、顧客のデータセンター内にディメンジョンデータ資産のクラウドを用意するプライベートMCP、ディメンションデータのデータセンターでプライベートクラウドを用意するホステッドプライベートのMCP、アプリケーションや物理・仮想サーバーなどのマネジードホスティングなど多種多様なサービスが用意されている。もちろん、これらのサービスを複数組み合わせ、ハイブリッドで利用したり、公開しているREST APIを介して、他のサービスを連携することも可能だ。

ディメンションデータのManaged Cloud Platform

 これだけ多彩なサービスを用意しているのは、やはり顧客のニーズが異なるからだという。「自社のデータセンターは持ちたくないというユーザーもいます、クラウドではないけど、カスタマイズしたいというユーザーもいます」(ディメンションデータジャパン 入江氏)というニーズに応えた結果だという。さらにはクラウド運用をアウトソーシングしたいサービスプロバイダー用の「ホワイトラベル用」のプラットフォームも提供しており、アジアでは特に人気を博しているという。

 北米ではHP、デルのサーバー、EMC、ネットアップのストレージのほか、アジア圏ではパフォーマンスの高いシスコのUCSも採用している。「ハードウェアは年々陳腐化しますし、更新のたびにベンダーを選択するのは、もはや面倒です。その点、弊社では評判が高く、実績のあるハードウェア・ソフトウェアを組み合わせてクラウドを構築、最適化して提供します」とのことで、“IT as a Service”みたいな形で、使った分だけITを利用することが可能になる。

OpSourceをベースにした使いやすさが大きな売り

 MCPは、使いやすさ。D(Deploy)、B(Build)、A(Access)の3ステップで簡単に仮想データセンターが構築できる点が評価されているという。MCPで採用しているOpSourceはAmazon、RackSpaceと並んで米国でも実績の高いクラウドプラットフォームで、同社が開発元のOpSourceを買収している。「もともと2002年から、数々のASP(Application Service Provider)の運用管理で用いられている実績があります。ASPで求められるメータリング、チャージバック、ビリングなどを満たした結果、こうしたサービスになった」(入江氏)とのことで、サービス事業者に培われてきたノウハウが大きくモノを言っているようだ。

 実際のデモを見たが、まずクラウドを作るデータセンターをグローバル7カ所から選択し、VLANを作成。インストールするOSやアプリケーションを決めれば、仮想マシンを生成できる。あとはVPNセッションを張れば、仮想マシンの管理が行なえる。「仮想マシンのCPUやメモリの上げ下げまで自由に変えることができます」(入江氏)という。

グローバル7カ所にデータセンターを用意しており、ASP事業者のホスティングで実績を持つ

 こうしたインフラの上でセキュリティやバックアップ/DR、VDIなどのサービスのほか、各種アプリケーションのサービス提供も行なっている。前述したREST APIを用いて、負荷の増加に応じて、バーストトラフィックをさばくといった例のほか、「たとえば、DR1つとってもパブリッククラウド間ではリモートバックアップがせいぜい。災害時にIPアドレス切り替えたり、真の意味でのDRを行なおうとすると、プライベートクラウド間でないと難しい。こういった部分まで含め、コンサルティングで提供する」とのこと。IaaSの上位のレイヤーがまさに差別化になっているわけだ。

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