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スマホの登場でカメラは「据え置き」機に?

2013年07月12日 07時00分更新

文● 澁野義一/アスキークラウド編集部

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スマートフォン(スマホ)内蔵カメラの登場で、カメラ市場が喰われている。生き残りをかけて各社しのぎを削る中、意外な製品が売れている。

 デジカメが売れない。

 カメラ映像機器工業会(CIPA)の資料によると、2013年5月のデジカメの生産台数は517万9005台で、前年同月比55.8%まで落ち込んでいる。

 その背景に、スマートフォン(スマホ)の普及があるのは疑いようがない。

 写真共有サイト「フリッカー」のデータによると、同サイトのユーザーで最も多く使われているカメラはアイフォーン4Sおよび5。

 キヤノンの「パワーショット G12」や富士フイルムの「ファインピックス X100」といったカメラの使用率は、緩やかに下降傾向にある。

 それでは、カメラメーカーはどのような「生き残りの道」を探っているのか。

 ペンタックスリコーイメージングから7月5日に発売になった「ペンタックスQ7」は、世界最小クラスのミラーレス一眼カメラとして話題だ。従来モデルの1.4倍の画像センサーを搭載し、撮影できる画角も広い。

 さらにオーダーメイドで本体色やグリップ、レンズなどの色を自由に選択して、世界に一台しかないモデルを作れる。「カメラを所有する喜び」を感じてもらうこの製品は、スマホにはない価値を提供している。

「ペンタックスQ7」のカラーバリエーションは全部で120種類。ウェブ上で色の組み合わせをシミュレーションできる


 一方、カシオ計算機は3000台限定で「エクシリム EX-TR15」を発売。無線LANに対応しており、スマホアプリ「エクシリム リモート」と組み合わせれば、写真の転送やリモート撮影などが可能だ。

 同シリーズは背面液晶が回転する仕組みで、「自分撮り」ニーズの高い中国市場で人気という。

 この製品のようにスマホと連携するカメラは最近のトレンドだが、思わぬ売れ筋商品がある。それは「ネットワークカメラ」だ。

 アイ・オー・データ機器の「クウォッチ TS-WPTCAM」シリーズは、外出先からスマホで室内の映像を閲覧できるネットワークカメラ。同社によると、従来モデルの8倍のペースで売れているという。

 矢野経済研究所の調査では、日本の2012年のネットワークカメラ市場規模は39万台。前年比118.2%の伸びを記録している。

 「持ち運ぶ」カメラは、プロや趣味層向けモデルを除き、スマホに取って代わられる。そして、ネットワークカメラのような「据え置き型」のカメラが増える——そんな未来が、いつか来るかもしれない。

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