このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

7インチタブとしても良い感じ。この完成度で1万2800円は驚き!

電子書籍の波に乗るべく「Kindle Fire」を買ってみた

2013年07月10日 19時30分更新

文● 貝塚怜/ASCII.jp編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 「やっぱり紙じゃないと」「必要がない」「そもそも普及していない」など、色々言われ続けてきた電子書籍。批判的な意見が目立つ印象だが、ここ数年の国内の電子書籍市場の動向を改めて振り返ってみると、

  • ソニーが「Reader Store」をオープン
  • 楽天がカナダの「kobo」を買収し、国内展開を開始
  • シャープが「GALAPAGOS」を開始
  • Amazonが「Kindleストア」を国内でもオープン
  • 東芝が「BookPlace」を一新し、専用端末「BookPlaceMONO」を発売
  •  と、日本でも本格的に流行しうる環境が整いつつあるように思える。実際、電子書籍そのものの刊行数も増え、売れ行きものびているようだ。

     かくいう筆者も「紙で良くないか」「というか紙の方が好きだわ」などと適当なことを言いながら電子書籍に触れてこなかった一人だが、最近になって急に「そろそろ本格的に波が来るのでは?」という気になり始めた。あと、「ああ電子書籍でしょ? 使ってるよ?」と言えるようになりたい。

     そんなおり、実にタイミングよくAmazonがKindle Fireシリーズのセールを実施。「Kindle Fireシリーズだったらタブレットとしても使えるし買ってみるか」という思いもあり、即購入。今さらながら、簡単な使用感をお伝えしたい。

    背面に「Kindle」のエンボス。とにかくシンプル。

     選んだのはKindle Fire。Kindle Fire HDとどちらにしようか迷ったが、ベゼルの細いシンプルなデザイン、そして価格に惹かれた。ちなみにKindle FireとKindle Fire HDの主な違いは液晶パネル(Kindle Fire :1024x600ドットで2点マルチタッチ、Kindle Fire HD:1280x800ドットで10点マルチタッチ)、Wi-Fiアンテナの仕様(Kindle Fire HDはデュアルアンテナ)、ストレージ容量(Kindle Fire:5GB、Kindle Fire HD:16GBまたは32GB)、バッテリー駆動時間(Kindle Fire:約8時間、Kindle Fire HD:約11時間)である。重量はKindle Fire HDの方が5g軽い。

     電子書籍とネット、メールのみなどライトな使用ならKindle Fire、音楽や動画、写真閲覧までしっかり楽しみたいならKindle Fire HDがおすすめだ。

     Kindle Fireの筐体は樹脂製で、表面はマットでさらさらとした質感。つくりは1万2800円のタブレットとは思えないほどしっかりしている。力を入れてひねってもたわまず、堅牢感すら覚えるほどだ。ディスプレーガラスにはGorilla Glassを採用している。

    下部に電源ボタン、Micro USB、ミニプラグ。

    上部にステレオスピーカー。

     インターフェースはMicro USBとミニプラグのみというシンプルさ。音量もソフト上で調節するという潔い仕様だ。本体上部にはステレオスピーカーを配置。同価格帯の中では最も美しく、デザインの洗練されたタブレットと言えるのではないか。

    液晶パネルはコントラストの効いた発色のいいもの。1万2800円の端末の液晶パネルだとは思えない! なお、本レビューではディスプレー表面にアンチグレアフィルムを貼付して撮影している。

    ロック画面はランダムに切り替わる。本、映画、音楽、ゲームといったモチーフに合わせて複数枚プリインストールされるが、変更は残念ながら不可。

    PINコードによるロックもできる。

     早速立ち上げてみよう。OSには、Androidベース(公表はされていない)のオリジナルOSを採用している。基本的な使い勝手はAndroidと同じなので、Androidに慣れていれば特に迷うことなく使えるだろう。

    スライダー。アプリや書籍、ウェブサイトが横配列で一緒に並ぶ。

     ホーム画面には少しクセがあり、「スライダー」による操作が基本となる。スライダーは、開いたアプリや書籍、音楽、ゲーム、ウェブサイトなどを横配列で一覧表示するもの。開いた順にどんどん追加されていくため、「頻度は低いがアクセスしないこともない」くらいのコンテンツが奥の方へ追いやられてしまうのが難点だ。スライダーとは別に「お気に入り」メニューがあるので、アクセス頻度の高い項目は登録しておくと良い。

    「お気に入り」画面。ホームから星の記号をタップすると立ち上がる。

    「アプリ」メニュー。一覧表示が見やすい。

     通常のAndroid端末のようにアプリショートカットやヴィジットは置けないので、割り切った利用が必要だ。筆者は電子書籍、ネット、メール、カレンダーだけ使うつもりで購入したので、かえってこのシンプルさが気に入った。ちなみに、カレンダーは各アカウントとの同期にも対応している。メインのアカウントと紐付けて手帳として使うのもおすすめ。

     スライダー、お気に入りとは別に、上部にもメニューがある。「お買い物」「ゲーム」「アプリ」「本」「ミュージック」「ビデオ」「ウェブ」「写真」「ドキュメント」の9項目で、それぞれをタップすると「アプリ」であればアプリだけ、「本」であれば電子書籍だけを一覧表示してくれる仕様だ。

    「お買い物」メニュー。デジタルコンテンツとAmazon.co.jpの商品、いずれもが購入可能。

     「お買い物」をタップするとAmazonにつながる。電子書籍、アプリ、音楽、ゲームといったデジタルコンテンツの購入と、Amazon.co.jpでの買い物が同列に扱われる感覚が新しい。Amazonブランドの端末だけあって、Amazonでの買い物はすこぶる快適だ。「物欲刺激端末」。そんな言葉が自然と浮かんだ。

     なお、Kindleで購入したコンテンツは自動的にクラウドと端末の両方に保存される。端末からコンテンツを削除してもクラウドには残り続け、クラウド経由で閲覧できるというわけだ。端末とクラウドの切り替えは、各一覧表示画面から簡単に切り替えられるため、Wi-Fiに接続していればオンライン/オフラインを特に意識せずに使えそう。

     アプリストアはGoogle Playとは異なり、Kindleストアの審査に通ったものだけが用意されている。よく言われていることだが、充実度はまだまだ低い。Evernote、Facebook、Twitter、Flipboardはとりあえず公式のものが用意されている。使い勝手はAndroid版とほぼ同じ。

     全体的な挙動は極めてスムーズで快適だ。プロセッサーにはTexas Instruments製のOMAP 4430(1.2GHz)を搭載。電子書籍タブレットのプロセッサーとしては必要十分だろう。むしろオーバースペックかもしれない。

    前へ 1 2 次へ

    カテゴリートップへ

    注目ニュース

    ASCII倶楽部

    プレミアムPC試用レポート

    ピックアップ

    ASCII.jp RSS2.0 配信中

    ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン