アナログシンセを作る上でやることはいっぱいある
―― ここまでアナログシンセの階段を上がってきて、次の製品はどうするんだという話です。
坂巻 アナログシンセが普通に買える状況ができてきたので、もっと普通に買えるようにしたいと思います。
―― これ以上?
坂巻 いや、まだ、やることはいっぱいあると思うんです。今のアナログも、シンセサイザーのある一側面でしかないわけですよ。今のお客様が使うアナログシンセというのは何なんだろうというのを考えながら、ただの懐かしさに終わらないような、今だからこそのアナログシンセを作っていきたいと。
―― TB-303が80年代に出た時も、あのハマる使い方を知っていた人なんて、いなかったわけです。それが90年代になって発明された。こういう物が出ることによって、音楽の方も変わっていく可能性があるわけです。
高橋 音楽の完成形を提示しないということなんですよね、こういう楽器というのは。完成していないから、世の中の皆さんがどう使うのか。僕個人的にはこう使ってやろうというものはあるんですが、それはすごい楽しみですね。
―― 坂巻さんたちは、安くて分かりやすくパッケージされたアナログ・シンセを、今まで楽器なんか買わなかった層向けに作ってきたと思うんですが、楽器として汎用性のあるものが欲しい、というプロ側の声もあると思うんですよ。
坂巻 それもシンセサイザーの一側面なので、やってみたいなとは思います。でも、やっぱりハードルっていっぱいあるわけですよ。アナログシンセ固有の。チューニングであるとか、可搬性であるとか、それなりの音の範囲をカバーしなければならないですし。もちろん将来的にはやっていきたいですけどね。
―― volcaシリーズはレトロなアナログ機材の復刻版とも言えるわけですが、独自のオリジナルなアナログものが出る可能性は?
高橋 もちろんありますよ。
坂巻 それはぜひ期待しておいてください。
著者紹介――四本淑三
1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。
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