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ウィルコムを連結子会社化、ソフトバンク着々と

2013年07月02日 16時00分更新

文● 加藤宏之(HEW)/アスキークラウド

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「更生手続開始の申立てから本日の更生手続終結に至るまで、債権者各位には多大なご負担とご迷惑をおかけいたしました」――こうしたコメントとともにウィルコムは1日、更生手続終結の決定を東京地方裁判所から受けたと発表した。これを受け、同社の発行済株式を100%保有するソフトバンクは、同日付けでウィルコムを連結子会社化したと公表している。

 ことの発端は約3年前にさかのぼる。ウィルコムは2010年2月、業績不振により東京地裁に対して会社更生手続の開始を申立て、翌月に東京地裁から会社更生手続の開始決定を受けた。以後、支払い総額約410億円を11年から6年間にわたって均等弁済するという更生計画(2010年11月に認可決定)にもとづき、更生債権等の弁済を進めてきた。

 ウィルコムの累計契約数(PHS及び3Gサービスの合計)は、07年7月末の466万件から10年12月末には378万件へと減少していた。この間に会社更生手続を開始したわけだが、10年8月にソフトバンクが同社のスポンサーに就任すると、更生計画の遂行と経営再建が本格化していった。

 ソフトバンクは、10年12月にウィルコムの全発行済株式を取得する一方、顧客へのサービス面では割安な料金プランの導入したほか、製品ラインナップの拡充や取り扱い店舗の拡大などに積極的に着手。すると、11年1月には約20か月ぶりに純増契約数(新規契約から解約を差し引いた数)がプラスに転換。業績も、11年度第2四半期になると四半期ベースで営業黒字に転じた。その後も黒字を維持し、契約数は13年5月末時点では545万件に及んでいる。

 このような業績改善を受け、ウィルコムはソフトバンクから資金調達を行ったうえで更生債権等(残額約271億円)を一括繰上で弁済。当初6年の弁済期間を前倒しして完済した。ソフトバンクは6月に、米3位キャリアのスプリント・ネクステル(Sprint Nextel)の戦略的買収(子会社化)にめどをつけた。今回、ウィルコムを連結子会社化したことで、国内外で地位固めを盤石なものとしている。

ウィルコム ソフトバンク

更生手続終結についての謄本(公式サイトより

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