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インテル、vProの進化とUltrabook導入事例を披露

iPadをやめた造船会社、Ultrabookを選んだ医療現場

2013年06月28日 08時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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6月27日、インテルはUltrabookの企業での活用に関する説明会を行なった。昨年12月の行なった発表会のアップデートになるもので、中小企業向けの「Intel SBA(Small Business Advantage)」の取り組みのほか、Ultrabookを導入した企業の担当が講演した。

管理者不在の会社に手間なし「SBA」

 発表会の冒頭、登壇したインテル常務執行役員 クラウド・コンピューティング事業本部 平野浩介氏は、日本の国力が米国や中国から遅れをとりつつあり、この背景に世界と日本のCIOが重視するビジネス戦略に大きな乖離があるという現状を指摘。6月14日に閣議決定した「世界最先端IT国家創造宣言」を追い風に、ICTを活用した「本気の」ビジネス戦略が必要になると訴えた。こうした本気のビジネス戦略を支援すべく、インテルとしては、生産性の向上やセキュリティの確保を実現する技術や製品を提供するとアピールした。

インテル 常務執行役員 クラウド・コンピューティング事業本部 平野浩介氏

 続いて登壇したインテル クラウド・コンピューティング事業本部の坂本尊志氏は、運用管理やセキュリティの機能をハードウェアで提供するvProテクノロジーについて紹介。2006年の提供開始から着実に進化を遂げ、今ではクライアントPCにとどまらず、サーバーやPOS、デジタルサイネージまで拡がっていると説明した。

インテル クラウド・コンピューティング事業本部 坂本尊志氏

 今回、坂本氏が紹介したのが、昨年から提供されているSBA(Small Bussiness Advantage)のソリューションだ。SBAとは、専任管理者のいない中小企業においてもvProのような機能を容易に利用するための無償ソリューションで、PCのメーカーやリセラーを通じて無償配布されている。坂本氏はノークリサーチの「2012年中小企業のIT管理運用人員規模に関する調査報告」を引き合いに、5億円未満の企業では、約65.5%の企業で専任のIT管理者が不在という現状を指摘し、可能な限り手間をかけずに、PCを効率的に管理する必要があると説明した。

インテルSBAの主要な機能

 こうしたニーズに応えるSBAの具体的な機能としては、ソフトウェアの監視や重要なデータのバックアップ、許可されていないUSBデバイスのブロックといったセキュリティ機能のほか、PCの健康状態をモニタするヘルスセンサーやPCを出勤前にオンにするエナジーセーバー、ワイヤレスでの画面共有を実現するインテルワイヤレスディスプレイなどが挙げられる。運用管理ツールなどとの連携が前提となるクライアント/サーバー型のvProテクノロジーと異なり、クライアントのみで自律的に動作するのが特徴となっており、「たとえば、毎週金曜日の夜にアンチウイルスのパターンファイルを更新してから、マシンを終了させるといったことが容易に設定できる」(坂本氏)という。

「Ultrabook準拠」は、はずれがない

 今回メインのトピックになったのは、Ultrabookの導入事例だ。坂本氏は柔軟なワークスタイル、高い生産性、そして情報セキュリティを実現するUltrabookの企業導入が進んでいると説明。インテルCPUを搭載したタブレットが続々と投入されているほか、タッチパネルに対応したユニークな第2世代のUltrabookが登場し、すでに基幹システムに近いところにまで使われているほか、人々の働き方自体を大きく変えつつあるとアピール。国内の事例を2つ紹介した。

 広島を本拠地とする造船会社であるツネイシホールディングで、業務用の端末としてUltrabookを試験導入している。発表会では、ツネイシホールディング 情報システム部 部長 CIO 和田義幸氏がUltrabook導入について講演した。

ツネイシホールディング 情報システム部 部長 CIO 和田義幸氏

 国内14社、海外11社からなる常石グループは造船事業、海運事業、環境・エネルギー事業、レジャーや宿泊、印刷などサービス事業などを手がけている。事業の中核となる造船事業においては170~300mという大型船の造船を行なっており、中国やフィリピンにも拠点を抱えているという。

 ツネイシホールディングの情報システムは、2010年から現場、モバイル、オフィス、設計など4種類のPCの入れ替えプロジェクトを進めており、価格と性能の比較をプロットしながら、機種を選定していたという。しかし、2011年に導入したB5サイズのPCは性能は高かったが、ユーザーの不満が多かったため、調達基準を変更。「性能だけではなく、バランスを重視することにし、調達基準に『Ultrabook準拠』を明記した」(和田氏)。この結果、旧機種からの乗り換え希望が相次ぎ、台数比率が上がった。和田氏は、Ultrabookについて「一言でいえば、はずれがない。インテルさんの保証があるようだ」と評価した。

Ultrabook準拠ははずれがない

 さらに和田氏は、タブレット導入についても言及した。同社では2010年からグループウェアをSharePointに移行し始め、2011年の新稟議システム稼働により、社外のWindows以外の端末でも承認作業が行なえるようになった。こうした経緯を受け、役員にはiPadを支給したが、「Excelの再現性が低く、詳細な情報が見られない」「PowerPointのレイアウトが崩れる」といった問題から不満が出て、Windows PCに戻る役員もいたという。一方、設計や現場に関しては、そもそも造船向けのCADや電子図面の管理ツールはWindows版しかなく、iPad自体が使えなかった。しかし、当時はAtom(Oak Trail)ベースのタブレットでは要望を満たすモノがなく、導入を見送っていた。

iPadからの方針変更

 しかし、現在は処理能力が大幅に向上したほか、バッテリのもちもよくなり、製品の選択肢が拡がったと指摘。現場でCADを確認するためのタブレットとして、頑丈タブレットとして知られるパナソニックの「TOUGHPAD」を採用。また、役員や営業、図面確認用のタブレットとして、Clover Trail世代のAtomプロセッサーを搭載したLenovo ThinkPad Tablet 2(for DoCoMo Xi)を採用。「グローブしたままでもタブレットやペンを使えるので、現場で評判がよい」という(和田氏)。最近ではコンパーチブルPCのような新しいフォームファクターも登場しており、今後はこれらも検討していくという。

現場でCAD図面を確認できるように

(次ページ、人を見る看護のために最新Ultrabookを選定)


 

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