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マイクロソフト、「負け」を認めて方針転換

2013年06月27日 07時00分更新

文● 伊藤達哉(Tatsuya Ito)/アスキークラウド編集部

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ドラクエ

公式サイトではベータテスト版のダウンロードが可能

 スクウェア・エニックスは9月、人気RPG「ドラゴンクエスト10」のWindows版を発売する。オンライン機能を強化したタイトルだけにPCユーザーの獲得を期待できる。必要システムはWindows Vista以降、価格は3990円だ。
 Windows版の発売には、「Wii U」の売れ行き低迷に加えて、ゲーム市場がスマートフォンやタブレットに奪われてしまったことが見え隠れする。マイクロソフトはドラクエという大きなコンテンツを得られたわけだが、同様にマイクロソフトも方針転換を強いられた立場に置かれている。

 クラウド分野でアマゾンやグーグルに大きく差を付けられているマイクロソフトは、オラクルとの協業を発表した。マイクロソフトとオラクルはBtoB分野で長年のライバル関係だったことを考えると、大きな方針転換といえる。オラクルもクラウド分野では伸び悩んでおり、3〜5月期の売上高は前年比0.3%増と横ばい状態。新規事業の契約を含めたクラウド事業は1%しか増えていない。つまり、かつてはIT業界のトップランナーとして君臨したものの、アマゾンやグーグル、セールスフォース・ドットコムといった新興勢力に脅かされている2社による連携だ。

 マイクロソフトはモバイルOSでも同様の動きを見せている。国内の携帯ゲーム開発会社KLabと提携して、iOSやAndroid向けのゲームを開発。まずは戦略シミュレーションゲーム「Age of Empires」を2013年度中に配信し、順次タイトルを拡大するとともに自社で開発したゲームを投入する予定だ。これまでWindowsPhone向けにゲームを自社開発してきたが、アップルとグーグルでシェア9割を占める現状ではゲーム内課金で収益を上げたほうがいいと判断したのだろう。

 これらの動きを「柔軟」な方針転換と見るか、プラットフォーム市場で勝ち目がなくなった企業の「弱さ」と判断するかは難しい。

Xbox One

今年の11月に21の地域で発売される「Xbox One」

「Xbox One」でも、マイクロソフトはユーザーの反応に対して柔軟な対応を見せた。当初、中古ソフトの販売や貸し借り、オンラインでのプレーなどに関していくつか制限を設けていた。ところが、ゲームファンからの批判の声を受けてこれらすべてを撤回。インタラクティブ・エンターテインメント・ビジネス部門のドン・マトリックス氏は、「ゲームファンの率直な意見を聴いた」とコメントを表明している。
 スマートフォンのサービスでユーザーとの接点を増やし、ハードウェアへ誘導する狙いを考えるとユーザーとの衝突は避けたいところ。素直に非を認めた姿勢は「Xbox One」の購入に迷っていたユーザーにどう響いたか。負けを認めて方針転換を打ち出したマイクロソフトは侮れないかもしれない。


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